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- ネオニコ系国内出荷量 20年度は微増
- ネオニコ系農薬登録数 “第一世代”は2割減少 “第二世代”が増加

2021年度のグリホサート系除草剤の出荷量(原体換算)を『農薬要覧2022』(植物防疫協会編)のデータで試算した結果、グリホサート系除草剤は6512.5トンで前年比102.7%と昨年に続き増加し過去最高となった。

2021年度のネオニコチノイド系農薬の出荷量(原体換算)を『農薬要覧2022』(植物防疫協会編)のデータを元に試算したした結果、ネオニコチノイド系農薬は442トンと前年比103.8%で若干増加した。ネオニコチノイド系農薬の増加傾向はこの数年続いている。

2017年に農薬登録されたスルホキサフロルについてまとめた冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』(有機農業ニュースクリップ編著)を日本消費者連盟から刊行、頒布することになりました。

2035年までに段階的に化学農薬を禁止し、生物多様性を回復し、この移行期に農家を支援する法的措置を求める欧州の市民発議「Save Bees and Farmers !」について、欧州委員会は10月10日、105万筆の署名を集め成立したと発表した。EUの市民発議の制度は、市民が特定の課題に対して100万筆以上の有効署名を集めた場合、EUが法的拘束力追うという制度で、これまでに94の発議が提起され、今回の「Save Bees and Farmers !」は7番目に成功した発議だという。農薬関連の成立した市民発議としては、100万筆以上の有効署名で成立した2017年のグリホサート禁止を求める市民発議に次ぐもの。欧州委員会は、市民発議に関する法案を提案するか、非法的措置をとるか、何もしないかについて、2023年4月7日までその概要を公表する義務がある。欧州委員会は、2030年までに化学農薬の使用量の50%削減(リスク換算)を決めているが、この市民発議の要求に対してどのように対応するのかが注目される。

北海道大学などの研究グループは11月18日、ネオニコチノイド系イミダクロプリドを投与した卵から生まれたヒヨコに自閉スペクトラム症(ASD)様の視知覚障害が起きると専門誌 Cerebral Cortex Communications に発表した。

カナダに拠点を置くNGOのETCグループ(ETC Group)は9月22日、2020年における農業・食料関連セクターの寡占状況に関する報告書『FOOD BARONS 2022』を公表した。農薬や種子、化学肥料、食品・飲料加工、食料品小売など13分野について分析した報告書は、食料価格の高騰は企業の集中がもたらし、脆弱な食糧システムを脅かしているとしている。

生殖毒性の疑われる除草剤グルホシネートの残留基準値改定に向けて意見公募が実施中だ。締め切りは11月11日。厚労省が示している今回の改定案では、144品目中43品目の残留基準値が厳しくなり、4品目が緩和されている。これにより前回(2014年)の改定と比較し、一日推定摂取量(EDI)は、許容一日摂取量(ADI)に対して平均で31.2%から16.7%に低減されることになる。残留基準値が厳しくなることは良い方向といえる。今年8月、ネオニコチノイド系のスルホキサフロルの残留基準値が緩和されたばかりで、今回のこの改定案がより際立って見える。

農水省はこのほど、2021年度の輸入小麦の残留農薬検査結果を公表した。この検査結果によれば、米国産とカナダ産の残留グリホサートはこれまでと変わらず、ほぼ100%から検出され、下がる気配がない。21年度、カナダ産は100%、米国産は97.8%と前年並みの高い検出率だった。オーストラリア産は、11.9%と前年度比約8%減少し19年度並みだった。フランス産は、前年に続き検出がなかった。

スルホキサフロルの残留基準値が8月10日付で改定された。この結果、一日当たりのスルホキサフロルの推定摂取量は、改定前に比べほぼ倍増した。残留基準値を設定する厚労省農薬・動物用医薬品部会の報告書によれば、2017年に行われた残留基準値の設定による一般(1歳以上の国民全体)の推定一日摂取量(EDI)は1日一人当たり230.1μg(一日許容摂取量(ADI)比9.9%)だったが、今回の改定で419.9μg(一日許容摂取量(ADI)比18.1%)とほぼ倍増した。

厚労省は8月10日付けで、ネオニコ系スルホキサフロルの残留基準値を大幅に緩和する施行通知を発出した。今回の改定では27品目が新たに追加設定され、139品目に残留基準値が設定された。このうち37品目の残留基準値が緩和された。

遺伝子組み換えナタネは、これまでキャノーラ油搾油用として消費されてきたが、新たにドコサヘキサエン酸(DHA)を作り出す遺伝子を組み込んだGMナタネが開発され、米国などでは食品や飼料として承認され、栽培も始まっている。食品安全委員会は現在、2つのDHA産生GMナタネを審査しているが、その一つ、BASFの除草剤耐性遺伝子組み換えナタネLBFLFKについての専門調査会での審査が7月28日終了した。議事要旨によれば、評価書(案)を一部修正の上、食品安全委員会に報告することとなったとしている。近く開催される本委員会で評価書が決定される模様だ。

先の参議院選挙で参政党という新しい政党が一議席を獲得しました。参政党は、有機農業や種子の国内自給、有機給食推進などの一方で、天皇中心主義、外国人参政権反対、憲法9条改正など国家主義・排外主義を主張しています。こうした農や食への主張が有機農業や有機食品、添加物問題などの関心ある層を引き付けたといわれています。こうした参政党の主張に対して、農民と消費者(生活者)の立場から「私たちは農と食が国家主義・排外主義の枠内で語られることを拒否します」と題した声明が、32名の農民や市民の呼びかけで発表されました。

輸入時検査における生鮮バナナの農薬残留基準値違反件数でネオニコの検出が目立ってきている。厚労省が公表している違反事例のデータでは、2018年度から2020年度まではほぼフィプロニルだった。しかし、2021年度以降、フィプロニルの検出されなくなる一方、ネオニコ系(イミダクロプリド、ジノテフラン)が検出されている。

国立環境研究所が2020年度の国内農薬出荷量データを公開した。農薬としての除草剤グリホサート系の国内出荷量(原体換算)は前年比108.2%の6325トンと過去最高を記録した。2019年度の出荷量が前年比95%と大きく減少し、出荷量が減少に転じるかと注目されていたが、一転増加した。

国立環境研究所が2020年度の国内農薬出荷量データを公開した。ネオニコチノイド系農薬は前年比101.6%と微増だが、実質的に横ばいであり、減少の気配はみられない。

ネオニコチノイド系農薬の登録数は2020年初めごろをピークに、約40品目減少している。農薬登録数は、ジノテフランなど7種類の“第一世代”のネオニコ系がこの2年で、342品目から271品目と約2割減少している。その一方で、スルホキサフロルなど2015年以降に登録された“第二世代”のネオニコ系が41品目から60品目へ増加している。

台湾衛生福利部食品薬物管理署は、7月5日付けでエースコックの「黄金色の塩ラーメン」から酸化エチレン(エチレンオキシド)33.763ppmを検出したと公表した。今年5月以来、7月12日までに台湾で見つかった酸化エチレンが残留した食品は、即席麺14品目、アイスクリーム2品目(ハーゲンダッツ)の合計16品目となっている。日本では、酸化エチレンはすでに登録が失効した殺虫剤であり、残留基準値は設定されていない。

ワサビの生産が減少し、生ワサビを売りにしている店が困惑していると、ロイターが映像で伝えている。ワサビの生産量は、温暖化による水温上昇や洪水、高齢化などで、2005年の半分までに減少しているという。そのため、生のワサビを売り物にしているそば店は、「ワサビの安定供給ができないということがこれからも続くのであれば、生ワサビをゼロにしないというところで耐えていく」と困惑しているという。

欧州委員会は7月6日、世界的に減少する花粉媒介生物(ポリネーター)対策として、ネオニコチノイド系のクロチアニジンとチアメトキサムの残留基準値について、一部を除き0.01ppmとする改定案をWTOに通知した。欧州委員会はWTOへの通知にあたり、「世界的な環境問題である受粉媒介者の減少に対処するものである」と、花粉媒介生物の減少に対応するものと明記した。

フランスは2017年1月から国や地方自治体、公的機関による緑地や道路維持などで農薬の使用を禁止していたが、今年7月1日から公共の緑地や私有宅地などでの農薬使用禁止を大幅に拡大し施行した。
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会は6月15日、グルホシネートの残留基準値改定に関する報告書をまとめた。改定された基準値案では、約4割の品目の残留基準値が変更され、一部を除き残留基準値が引き下げられ厳しくなっている。今回の改定は、サトウキビへの適用拡大申請に伴うもので、その残留基準値は0.03ppmに設定された。規制強化は歓迎すべきことだが、グルホシネートは生殖毒性が疑われ欧州では禁止農薬となっており、妊婦や乳幼児への影響が懸念される。予防原則に立ち、より強化すべきではないか。

米国連邦控訴裁判所は6月17日、米国環境保護庁(EPA)に対して、除草剤グリホサートについてヒトや絶滅危惧種へのリスクに対して十分な評価を行っていないとして再評価を命じた。農業労働者や環境、自然保護などの団体が20年3月に提訴していた。判決は3人の判事の一致した判断。

EUは12月で農薬登録の期限となるグリホサートの再評価を進めているが、欧州化学機関(ECHA)のリスクアセスメント委員会(RAC)は5月30日、これまでの評価を変更せず、グリホサートを発がん性物質に分類することは正当化されないと再度結論づけたと発表した。

欧州で新しいタイプのネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの屋外使用が禁止され、米国環境保護庁(EPA)が絶滅危惧種保護法により規制見直しを迫られるように、ネオニコチノイド系農薬の規制が強化される方向になってきている。日本では昨年度から農薬再評価を始まっているが進展は明らかになっていない。このような中、アクト・ビヨンド・トラスト(abt)とアジア太平洋資料センター(PARC)は、「じっくり知りたい、ネオニコ系農薬問題の重要論点と日本の農薬規制のあり方」と題した、3人の専門家によるオンラインセミナーを7月3日(日)に開催する。申込みは6月30日まで受け付けている。

キプロス緑の党は6月21日、キプロスの学童の尿からグリホサートとその代謝物が検出されたことを受けて、グリホサートの禁止をキプロス政府に求めた。

欧州の非遺伝子組み換え大豆への需要の高まりがブラジルの非GMO大豆の栽培面積を急激に増加させている。ブラジルの業界団体ISLによれば、ブラジルの大豆栽培面積4100万ヘクタールのほとんどがGM大豆で、非GM大豆は2%、約80万ヘクタールに過ぎない。9月に始まる来シーズンは100万ヘクタールに急増の見込みだという。

米国環境保護庁(EPA)は6月16日、主要な3種類のネオニコ系農薬が、米国の絶滅危惧種の最大79%に重大な影響を与える可能性があるとする最終的な生物学的評価を公表した。今回の影響評価は、米国食品安全センターなどが2013年にネオニコチノイド系農薬の禁止を求めた裁判の和解条件によるもので、米国環境保護庁(EPA)は22年6月を期限として再評価の実施を求められていた。

4月7日にネオニコチノイド系農薬のスルホキサフロルの屋外使用禁止の方針を明らかにしていた欧州委員会は4月29日、正式に屋外使用を禁止するEU規則の改正を官報に掲載した。改正されたEU規則は5月20日より発効する。奇しくも5月20日は「世界ミツバチの日(World Bee Day)」。スルホキサフロルは、EUでは2015年に農薬として登録され、2018年に屋外使用が禁止されたイミダクロプリドなどに代わる低リスクの殺虫剤だとされ、使用が推奨されていた。しかし、そうした希望的な見方も、わずか7年で実質的に禁止されることとなった。

ウクライナに侵攻したロシア軍は先ごろ、ウクライナ東部のハルキウにあったウクライナ国立植物遺伝資源センター(NCPGRU)を砲撃し、保存されていた16万種に及ぶ植物遺伝資源を破壊した、と同センターのセルヒ・アブラメンコ博士が明らかにした。破壊された遺伝資源にはこの施設にしか保存されていないものも含まれていたという。

欧州食品安全機関(EFSA)と欧州化学機関(ECHA)は5月10日、今年12月に登録期限を迎えるグリホサートの更新審査の結論が23年7月になると発表した。この遅延によりグリホサートの登録は暫定的に延長され、来年後半に決着する模様だ。国際農薬行動ネットワーク・欧州は11日の声明で「EFSAは、人々の健康と環境に対して容認できないリスクがあることを示す意見を迅速に出すのに十分な証拠を得た」と指摘し「欧州委員会は、アグリビジネスから離れ、市民と独立した科学者の意見に耳を傾けるべき時が来ている」と、先送りを批判し早急に結論を出すよう求めた。

佐賀大学などの研究グループは、佐賀平野のトンボと環境中の農薬との関係を調査した結果、トンボの豊富さと殺虫剤に負の関係があり、トンボの豊富さと殺菌剤及び除草剤には関係がないことが分かったと、専門誌に発表した。

欧米でのミツバチの大量死などから、ネオニコチノイド系農薬の生態系への悪影響が明らかになり、欧米を中心に規制が進んでいる。研究が進み、ヒトの健康影響が次第に明らかになってきている。ネオニコチノイド系農薬は昆虫の神経系に作用することで殺虫効果があるとされる。ヒトに対しても同じような神経系への作用が少しずつ明らかになってきているという。こうした悪影響は、ことに子どもにとっては大きな問題となるが、ネオニコチノイド系農薬のヒトへの影響をテーマにした映像作品の制作が始まり、《子どもをネオニコから守ろう!》とクラウドファンディングで支援を募っている。

養鶏飼料中の残留グリホサート濃度が卵の孵化に影響を与え、濃度が高くなるほど孵化率が低下する傾向があるとデンマークのオーフス大学の研究グループがScientific Reports(電子版)発表した。孵化率が低下は、痕跡レベルのグリホサートでも胚の発育に悪影響を及ぼしたためと考えられるとしている。

メキシコ最高裁は10月13日、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培禁止命令に対するバイエル(モンサント)、シンジェンタなど企業による異議申立てを棄却した。メキシコ政府も差止命令を支持する準備書面を最高裁に提出していたという。農民者、養蜂家、人権、芸術家、研究者の20団体の代表を含む53人からなる原告が栽培禁止を求めて提訴していた。

岡山大学や農研機構などが開発した穂発芽を遅らすゲノム編集小麦について、文科省は9月22日付けでこのゲノム編集小麦が遺伝子組み換え生物に該当せず、実験計画案通りでも生物多様性に影響を与えないとして屋外試験栽培の計画を「承認」した。岡山大学の研究グループは、ゲノム編集を使った穂発芽耐性大麦の開発も進めている。

岡山大学と農研機構などの研究グループはこのほど、ゲノム編集(Crisper-Cas9)により穂発芽に強い大麦の開発に成功したと発表した。研究グループは、これによりビール醸造に適した品種や発芽に強い品種の開発に貢献するとしている。論文はPlant Biotechnology Journalに発表された。岡山大学は今年から穂発芽耐性のゲノム編集小麦の野外試験を実施すると発表している。

英国・ロザムステッド研究所は8月24日、ゲノム編集で開発した低アスパラギン小麦の野外試験が英国政府より許可されたと発表した。パンなどの加熱時に生ずる発がん性のあるアクリルアミドを減らすことが可能になるとしている。この承認を受けて、9月から播種が始まるという。

都内で購入した「サクラ印ハチミツ」(加藤美蜂園本舗)から残留基準値を超えるグリホサートが検出された。購入した5本のうち3本が基準値(0.01ppm)を超え、そのうちの1本は0.05ppmだったという。週刊新潮が7日発売の号で報じたもので、加藤美蜂園本舗は今年2月、同社社内で違反状態であることが判明していたのも関わらず隠ぺいしていたという。

農水省は2000年、斑点米カメムシ類を植物防疫法の指定有害動植物に指定した。この指定が水田における農薬使用が増えた原因の一つだといわれてきた。『農薬要覧』によれば、2000年の斑点米カメムシ類に対する延防除面積は、栽培面積170万ヘクタールを上回り、前年の150万ヘクタールから200万ヘクタールへと特異的に急増した。これ以降、一時期を除き栽培面積を上回る状態が続いている。2000年以降栽培面積が減少しているにもかかわらず、防除面積は減少していない。
サナテックシードは9月15日、ゲノム編集高GABAトマト「シシリアンルージュハイギャバ」の一般向け出荷を開始したと発表した。サ社の「シシリアンルージュハイギャバ」は、ゲノム編集によりGABA含有量を高めた系統をもとに交配で作られたF1種としている。
農民連食品分析センターはこのほど、ヒトの尿中のネオニコチノイド系農薬の予備的な検査結果を公開した。公開された検査結果は、スタッフ5名とその家族2名の計7人分。人によりバラツキはあるものの、全員から出荷量がトップのジノテフランが検出されている。また、2018年に出荷が始まったばかりのスルホキサフロルが2人から検出されていることが目を引く。気を付けていても摂取してしまう現状が反映されている結果になっている。

農水省は2050年の「カーボンニュートラル」へ向けた「みどりの食料システム戦略」を正式に決定した。有機農業の100万ヘクタールへの拡大、化学肥料使用量の30%低減とともに、《化学農薬使用量(リスク換算)の50%低減を目指す》と、化学農薬の低減目標を挙げた。この目標値の「50%」は個々の農薬の《リスク》をもとに削減するという。農水省の農業資材審議会農薬分科会(第25回)で、このリスク換算は、有効成分ベースで、かつヒトへのリスク評価値であるADI(一日摂取許容量)を元にして計算するとの考え方が示された。リスクベースで評価、算定するとしたことは、単なる出荷量ベースからは一歩前進かもしれない。しかし、このリスクをどう設定するかでその中身が大きく違ってくる。ADIだけでは、ミツバチに代表される環境や生物多様性へのリスクが算入されず「まやかし」と言わざるを得ない。

スリランカの地元紙によれば、スリランカのゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領は4月23日、近い将来化学肥料の輸入を禁止するという方針を述べ、農業では有機肥料だけを使用し、その増産に注力するように関係機関の関与を求めたという。スリランカはこれまでに、グリホサートの使用を一部に限定しているが、今回の大統領の方針には化学農薬への言及はなく、全面的な有機農業への移行を目指したものではない。

アースデーの4月22日、米国ニューヨーク市議会は、市が所有やリースの遊び場や公園などで、グリホサートなど化学農薬の使用を禁止する条例を全会一致で可決した。市当局による農薬の使用が有色人種の多い地域に偏っていることが分かっていて、黒人団体などが使用禁止条例の制定を求めていた。この条例案を提案し、成立に尽力してきたベン・カロス議員は、「公園は遊ぶところであって、有害な農薬を撒くところではありません」とコメントし、ジョンソン市議会議長は使用地域の偏在について「環境正義の問題」と指摘したという。ブラシオ市長も法案を支持するという。

ダウ・デュポンより分社したコルテバの子会社のパイオニア・ハイブレッドは昨年12月、ゲノム編集技術を使った除草剤耐性・害虫抵抗性遺伝子組み換えトウモロコシの承認をEUに申請した。この遺伝子組み換えトウモロコシDP915635は、2段階の手順を踏んで除草剤グルホシネート耐性遺伝子とシダ類(Ophioglossum pendulum)由来の殺虫毒素遺伝子を組み込んでいるとしている。テストバイオテックは、得られた形質やリスクの低減という点では何の進歩もないと評している。

米国小売大手のウォルマートは4月13日、販売する生鮮食品について、全量を2025年までに総合的病害虫管理(IPM)を実施する供給業者から調達し、5種類のネオニコチノイド系殺虫剤と有機リン系の殺虫剤クロルピリホスの使用を供給業者が段階的に使用しないよう奨励すると発表した。

グリホサート製剤に含まれる補助剤によってマルハナバチの死亡率が大きく異なり、補助剤の影響を含めた農薬評価が必要だとする研究結果が専門誌(Journal of Applied Ecology)に発表された。ロンドン大学ロイヤルホロウェイの研究グループによるもので、また、現行の毒性試験では除草剤製品の毒性を十分に評価できないため、農薬会社に対し、各農薬の配合成分の全リストを公開するよう求めるとしている。

米国と欧州の研究グループは3月22日、母親が妊娠中に暴露したグリホサートが多いほど、生まれた女児の肛門性器間距離が男性型に近づき、グリホサートが環境ホルモン(内分泌かく乱物質)であることを示唆していると専門誌(Environmental Pollution)に発表した。

米国の農薬使用量が減少し脊椎動物への影響が減少しているにもかかわらず、ネオニコチノイド系農薬などの使用増加で、昆虫や水生無脊椎動物に対して毒性量が大幅に増加したという研究がサイエンス誌に発表された。ドイツのコブレンツ・ランダウ大学の研究グループが4月2日に発表したもので、ミツバチなどの花粉内科医昆虫では、この10年間に2倍に増加し、遺伝子組み換え作物でも従来作物と同じように毒性量が増加しているとしている。研究グループは、農薬の使用量の減少が環境影響を減少させているという主張と矛盾すると指摘している。

農水省がまとめている輸入小麦の残留農薬検査の20年度前期分が公表された。公表されたデータによると、輸入小麦の8割を占める米国産とカナダ産のほとんどからグリホサートが検出されている。豪州産は2018年に45.5%と半数近くで検出されたが、そのほかの年度では20%前後となっている。年間1万トン前後と輸入量が少ないフランス産は着実に検出率が下がってきている。

イミダクロプリドなど従来のネオニコチノイド系殺虫剤が、ミツバチに有害として規制される動きが世界的に広がる一方で、スルホキサフロルなどがミツバチにやさしいとの触れ込みで続々と承認されてきた。これまでのネオニコチノイド系殺虫剤が神経を興奮させる作用だったが、逆に神経伝達を遮断するタイプのネオニコチノイド系殺虫剤が登場している。

メキシコは昨年12月末に大統領令により、2024年までにグリホサートの段階的禁止と遺伝子組み換えトウモロコシの輸入禁止などを明確にした。この決定に至るまでに、トランプ政権下の米国通商代表部(USTR)と米国環境保護庁(EPA)、バイエル、に業界団体のクロップライフが、グリホサート禁止を葬るために圧力をかけていた工作が明らかになったと、ガーディアン(電子版)が報じている。

カナダ・ゲルフ大学の研究グループは2月19日、地面に穴を掘って営巣するスクウォッシュ・ビー(Eucera pruinosa)が、ネオニコチノイド系イミダクロプリドを土壌に散布した作物に曝露した場合、営巣数が85%減少し、集める花粉の量も大幅に減少し、子孫も89%減少したとサイエンティフィック・リポーツに発表した。研究グループは、土壌散布の殺虫剤の制限が正当化される可能性があるとしている。
インド食品安全基準局(FSSAI)は2月8日、輸入食用作物の非遺伝子組み換え証明制度が3月1日より施行されると明らかにしたと地元紙が報じた。混入許容限度は1%だとしている。この証明制度は昨年8月、今年1月より施行と発表されていた。

農水省は3月3日、遺伝子組み換え作物3品目を承認した。第一種使用が遺伝子組み換えナタネと、花色を操作した遺伝子組み換えコチョウランの2品目であり、遺伝子組み換えカラシナの隔離圃場での試験栽培も承認された。初めての承認となる遺伝子組み換えカラシナは、在来カラシナとの交雑が懸念される。

英国のロザムステッド研究所の研究グループは2月26日、ゲノム編集により発がん性のあるアクリルアミドの前駆体であるアスパラギンの含有量を減らした小麦を作り出したと専門誌に発表した。この低アスパラギン小麦は、アスパラギン合成酵素遺伝子をノックアウトさせたもので、外来遺伝子の挿入はないとしている。商業化には5年から10年かかるとしている。この小麦はアスパラギンが野生型小麦に比べ少ないものの、発芽率が低かったとしている。

カナダのトロント大学などの研究グループは2月3日、環境濃度のネオニコ系農薬イミダクロプリドに暴露されたノドアカハチドリエネルギー代謝が、曝露の2時間以内に25%減少した、と専門誌(サイエンティフィック・リポーツ誌電子版)に発表した。研究グループは、イミダクロプリド曝露後の代謝の変化は、ハチドリの生存に重要な影響を及ぼす可能性があるとしている。ハチドリも受粉媒介生物(ポリネーター)の一つである。

オーストラリアのクイーンズランド工科大学(QUT)は2月17日、フザリウム菌が原因のフザリウム萎凋病、別名パナマ病TR4により危機的な状況といわれるキャベンディッシュ種バナナに対して、ゲノム編集技術を使い、TR4耐性バナナを開発したと発表した。遺伝子組み換えではなく、発現していない耐病性遺伝子を発現させたとしている。

フランス農業開発研究国際協力センター(CIRAD)などの研究グループは1月28日、グリホサートの使用による土壌浸食の結果、バナナ農園で使われ、1993年に禁止された土壌中の難分解性の有機塩素系殺虫剤クロルデコンが放出されているという研究結果を専門誌に発表した。
日本有機農業研究会など3団体は9日、12月に届出が受理されたゲノム編集トマトの受理撤回と種苗の無償配布を取りやめさせる措置など求める意見書を厚労省や農水省の提出した。

厚労省の遺伝子組換え食品等調査会は2月10日、ゲノム編集魚類の議論を始めた。10日の調査会は「個別案件ではなく、一般的な議論」としている。公開された資料では、岡本裕之氏(水産技術研究所育種部育種基盤グループ長)による、魚におけるゲノム編集の事例として、ブルーギルやブリ、フグなどが挙げられている。

欧州の環境などの77のNGOは昨年11月5日、EUの禁止農薬の輸出とそれらを使用した食品の輸入禁止を求める公開書簡を、欧州委員会上級副委員長と関連する3委員に送った。欧州委員会は昨年10月、2023年までにEU禁止農薬の輸出禁止の方針を明記した化学物質戦略を採択している。昨年7月には、国連人権理事会の特別報告者バスクト・トゥンジャクさんが、欧米などの富裕国で禁止されている有毒な化学物質を、より貧しい国へ輸出するのを止めなければならないという声明を発表している。危険な農薬輸出は、年間4万トン余りの農薬を輸出している日本の問題でもある。
厚労省は2月1日、遺伝子組み換え微生物を使った遺伝子組み換え添加物2品目を承認した。承認されたのは、オランダのDSMのグルコースオキシダーゼ(製パン及び製菓工程における生地の柔軟性改善)と米国のダニスコのキシラナーゼ(パン生地の品質向上)の2品目。食品安全委員会は12月22日、この2品目について「ヒトの健康を損なうおそれはない」とする評価書を決定していた。

農薬の国内生産・出荷量の統計データをまとめた『農薬要覧2020』(日本植物防疫協会編)によれば、原体に換算した2019年度のグリホサート系除草剤出荷量は前年に比べ約300トン(約5%)減少した。

エジプト・インディペンデント紙(電子版)によると、エジプト政府は2030年までに農薬使用の半減を計画しているという。キューシール農業・土地再生相は1月30日、化学農薬の消費量を減らして生物農薬に置き換える計画が策定されたと発表した。
食品安全委員会は1月19日、米国シンプロット社の遺伝子組み換えジャガイモ2系統について、遺伝子組換え食品等専門調査会の「ヒトの健康を損なうおそれはない」との評価を受け、意見公募は行わず厚労省への通知を決めた。近く厚労省が承認すると思われる。同時にこの遺伝子組み換えジャガイモは飼料としても問題なしと評価し、農水省へ通知を決めた。これまでにシンプロット社の遺伝子組み換えジャガイモは、2系統が食品として承認されている。

コロンビアのパスト高等裁判所は1月13日、政府が計画していたグリホサートの空中散布の再開計画の一時停止を命じた。コカの駆除に力を入れていたコロンビア政府は、トランプ前米国大統領の要求を受けて、昨年12月、21年からのグリホサートの空中散布再開を計画し、環境管理計画(EMP)を策定した。環境管理計画では6つの地域の104の自治体が対象とされていたという。

タンザニアのムケンダ農業相は1月12日、同日以降、同国内での遺伝子組み換え生物(GMO)の試験を中止し、輸入種子の徹底的な検査を命じた、と地元メディアが報じた。タンザニアでは、まだ遺伝子組み換え作物の商業栽培は始まってないが、遺伝子組み換え作物の試験栽培が実施されていた。

厚労省は1月8日付けで、ニュージーランド産ハチミツから一律基準値を超えるグリホサート0.08ppmを検出し全量廃棄・積戻しを指示と公表した。ニュージーランド産ハチミツからの一律基準値を超えるグリホサートの検出は昨年11月に続くもので、今年度2度目となる。ニュージーランドのハチミツの残留基準値は0.1ppmで、同国内であれば問題なしとされるレベルである。

ブラジルのカンピーナス大学の研究グループは12月17日、ブラジル南東部のグリホサートを使用する農業地域の蜂蜜を分析し、約4割からグリホサートとその代謝物質AMPAを検出したと発表した。

英国の環境・食料・農村地域省(DEFRA)は1月8日、アブラムシが媒介するウイルス性テンサイ黄化病の防除に、ネオニコチノイド系農薬チアメトキサム(シンジェンタのクルーザーSB)の緊急使用を承認した。承認にあたり、てん菜の種子処理に限定し、かつ2021年のみの「厳しい条件付き」で承認したとしている。英国ではテンサイ黄化病により大幅な減収が見込まれているという。全英農業者連盟(NFU)とブリティッシュ・シュガーが緊急使用を認めるよう申請していた。フランスは昨年、てん菜のウイルス性テンサイ黄化病防除に21年から3年間に限定して使用を認める法改正を行っている。

メキシコ政府は12月31日、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培許可を取り消すとともに、2024年までにグリホサートの使用と遺伝子組み換えトウモロコシの輸入を段階的に禁止する大統領令を発出し官報に掲載した。禁止に反対する農業・農村開発省の抵抗で、昨年9月には禁止を進めていたトレド環境相が「健康上の理由」で辞任していた。この大統領令は、翌日の21年1月1日より施行された。

昨年10月議会が可決した、ペルーにおける遺伝子組み換え作物栽培禁止を、さらに15年間の継続する法案は、大統領が1月5日に署名し成立した。
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