稲垣栄洋著・三上修イラストの前著『身近な雑草のゆかいな生き方』に続くコンビの2作目である。キャベツ、タマネギ、ゴボウ、トマトなど44種類の野菜を取り上げ、それぞれの知られざる野菜としての生き方を論じている。「もとをただせば野生の植物」の野菜も、飼いならされて人間に寄り添って生きている。アパートの一室のゴミの中からけなげに花をつけるハクサイするある。「野菜だって生きている」のである。
この稲垣さんの文章以上に、三上さんのイラストが素晴らしい。銅版画を思わせる細密な線で描かれる野菜たちが、生きているかのような質感がある。表紙のレタスを見れば、すぐに手にとって見入ってしまうほどだ。