
特許などの知的財産権の保護強化が図られている中、種苗法でも登録品種の自家増殖が2007年8月1日からより制限されることになっている。適用されるほとんどが花卉類で、野菜はヤーコンなど4種類で、あまり影響が無いようにも見える。
・農水省 品種登録ホームページこうした自家増殖規制の動きに連動して、2006年4月から新たに「品種保護対策官(通称:品種保護Gメン)」が置かれ、登録品種の権利侵害に関する情報の収集を始めている。技術的にはDNA分析による品種同定技術の開発が進められ、イネ、小豆、イチゴなどについては終わっているようだ。2007年1月からは、イネや、小豆、お茶などの登録品種の育成権の及ぶ範囲を加工品にまで広げている。
こうした自家増殖規制の動きについて安田節子さんは、「農家の自家増殖に網をかけ」、「種苗企業の知的財産権が農家の耕作権より上回る事態が招来されようとしている」と警告している。
・安田節子.com, 2006-12-19自家増殖規制のもう一方で、「地域団体商標制度」による在来種、固定種の名称使用が制限されようとしている。この制度は「地域ブランド」の方が名が通っている。従来の商標法の保護の対象外であった地域の特産品に、その産地の地域名をつけるなどの地域名と商品名からなる商標が、商標法の改正により2006年4月から認められるようになった。これにより、2006年10月には600件以上の出願があり、12月には100件の地域ブランドが認められた。この中には農産物も含まれ、次の3種類の在来種も登録されている。
平田赤ねぎ、中島菜、紀州うすい
現在申請中の地域ブランドには、次のような「聖護院大根」や「九条ネ ギ」など一般化した品種も含まれている。
鵜渡川原きゅうり、加賀太きゅうり、金沢一本太ねぎ、加賀つるまめ、伏見甘長とうがらし、京みず菜、鷹峯とうがらし、伏見とうがらし、聖護院かぶ、聖護院だいこん、壬生菜、九条ねぎ、賀茂なす、山科なす、堀川ごぼう、鹿ヶ谷かぼちゃ、万願寺とうがらし、泉州水なす
こうした品種名にまで地域ブランドとして登録商標が認められた場合、他の地域の生産者などは「九条ねぎ」などは使用できず、使えば権利侵害となる。こうした事態に野口種苗の野口さんが警鐘を鳴らしている。
・特許庁 地域団体商標制度 ・野口種苗, 2006-1-4