「知的財産権の強化」の名の下、新品種の育成者の権利を守るという名目で、これまで認めれてきた自家増殖への制限が厳しくなってきている。2007年8月からは、登録品種という限定はあるものの、野菜の一部4品目への自家増殖が制限される。国際条約であるUPOV(植物の新品種の保護に関する国際条約)では、自家増殖は「原則禁止」とされている。農水省は昨年12月19日、「植物新品種の保護の強化及び活用の促進に関する検討会報告」をまとめ、更なる強化を打ち出している。
こうした自家増殖制限の動きは、現在は登録品種にとどまっている。一方で、「地域団体商標制度」による在来種、固定種の名称使用の制限も始まっている。また、遺伝子特許による種苗の“囲い込み”の懸念がないわけではない。これらの規制強化は、農民自身が栽培する作物や品種を決める、という「種子主権」を奪うことを意味している。こうした中、日本有機農業研究会はこの19日、種苗法規制強化について農水省種苗課による説明会を議員会館で開催する。
以下、転載
「植物新品種の育成者権強化に向けた法改正」
に関する農水省種苗課の説明会ご案内
今日、種苗開発者は種苗の知的財産権を、育成者権、特許権、商標権で多重にガードするようになってきました。
植物新品種保護条約の91年改正と、国際種子連盟(世界の種苗産業を代表)やSTAFF(社団法人農林水産先端技術産業振興センター 育成者権の保護促進を目的に6団体などが協同)などから強い要望が出されていることを背景に、農水省は12月19日、「植物新品種の保護の強化及び活用の促進に関する検討会報告」をまとめました。
これまで農家が行う登録品種の自家増殖については原則容認とされてきましたが、将来的には自家増殖は原則禁止とすることが示されました。
育成者の権利強化の諸整備、農家の自家増殖に制限をかけることを検討し、法改正に向け、法的な制度設計がスタートします。
また、商標権では、すでに「地域団体商標制度」による在来種、固定種の名称使用が制限されようとしています。「商標法の一部を改正する法律」が2006年4月1日に施行され、地域団体商標制度がスタート。現在申請中の地域ブランドには、「聖護院大根」や「九条ネギ」「賀茂なす」「丹波黒大豆」など一般化した品種も含まれています。こうした品種名にまで地域ブランドとして登録商標が認められた場合、他の地域の生産者などは「九条ねぎ」などは使用できず、使えば権利侵害となります。
こうした種苗をめぐる知的財産権強化の流れと農家の権利については、これまで議論がされていません。
まず第一歩として農水省種苗課に話を聞きます。ぜひ多くのご参集をお 願いします。
「植物新品種の育成者権強化に向けた法改正」
に関する説明会
日 時:1月19日(金曜日)午後2:00より3:30
場 所:参議院議員会館 第4会議室