バイオエタノール・ジャパン・関西(株)は1月16日、大阪府堺市に建設していた廃木材を原料とするバイオエタノールプラントの開所式を行った。このプラントは、廃木材や剪定屑などを原料としてエタノール発酵菌により生ずるエタノールを濃縮・蒸留し、ガソリンに添加しようというものである。
バイオエタノールの原料は、ブラジルのサトウキビや米国のトウモロコシなどがほとんどで、同社のサイトによれば、木材を原料とするのは世界でも始めてであり「純国産エネルギー」を謳っている。この点、共同通信によれば、キー技術は米国より導入した遺伝子組み換え発酵菌にあるようだ。同社は、この発酵菌が遺伝子組み換えによるものであるとは公表していない。
同社のプラントは、年間4万トンから5万トンの廃木材などを使い、1400キロリットルのエタノールを生産するとしている。数年後には規模を増強し4千キロリットルまで生産を挙げるとしている。また、販売価格は1リットル当たり160円程度とまだ高い。このプラントでは発酵促進に、こちらも産業廃棄物扱いの「おから」を添加するという。現在、廃木材はトン当たり1万円程度の処理費用を払って処理されている。廃木材は、バイオマス発電や再生紙原料などで2007年には500万トンを超える利用が見込まれているという。2007年には千葉県市原市に20万トン規模のバイオマス発電プラントが操業開始を予定しているという。毎日新聞は、こうした廃木材需要の高まりに「争奪戦も激化」と報じている。
・バイオエタノール・ジャパン・関西, 2007-1-16 ・共同通信, 2007-1-16 ・毎日新聞今回のバイオエタノールプラントでは遺伝子組み換えエタノール発酵菌が使われているが、Institute of Science in Societyは1月12日、こうしたエタノール発酵菌の危険性を警告するプレスリリースを出した。それによれば、遺伝子組み換えなどにより新たに作られた発酵菌が有毒な代謝物質を生み出すかもしれないし、農業に対する脅威をもたらすかもしれないとしている。また最新の環境評価では、バイオマスエタノール生産が持続可能でも環境にやさしいわけでもないという結果になったとしている。
・The Institute of Science in Society, 2007-1-12