年間2千万トンのトウモロコシを生産するメキシコでは今、トウモロコシ価格の急騰により農業団体が遺伝子組み換えトウモロコシの作付け許可を要求する事態になっているという。これは1月19日のCheckbiotechがメキシコ・EFE News Serviceを転載したもの。
これによれば、メキシコではトウモロコシ粉を薄く焼いたトルティーヤを主食としているが、この価格がこの6年で70%上昇。2006年には11%上がり、キロ当たり10ペソ(約110円)にまでなったという。メキシコ政府は12月、65万トンのトウモロコシ輸入を許可した。こうした中、メキシコ農業団体の一つCNA(the National Agricultural Association)は、遺伝子組み換えトウモロコシの作付け許可を政府に求めている。
メキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)により2008年、トウモロコシと豆の関税撤廃が想定されている。全国農民連合などのメキシコの農民組織は、セーフガードを盛り込むように要求している。94年のNAFTAの発効により、米国から補助金付きの安い農産物の流入によりメキシコ農業が破壊されたという。今回のトウモロコシ価格の急騰は、米国のバイオエタノール生産増強に伴うトウモロコシ価格の急騰が原因だという。
グリーンピースは、この「トルティーヤ危機」がメキシコ政府のGM許可の口実に使われようとしていると警告している。そして、許可により利益を得るのはモンサントなどの種苗会社だとしている。メキシコは、トウモロコシの原産地でもある。
・EFE News Service / checkbioteck.com, 2007-1-19食料であるトウモロコシを「バイオエタノール」という燃料に転化しようとするところに問題がある。この「トルティーヤ危機」は、自由貿易協定を農業や食料から見れば、米国のような「農業先進国」に牛耳られる結果こなることを示している。当初は安価に供給されるものも、状況次第ではとても高いものにつくということだ。「食料安全保障」とは「安定的な輸入確保」にではなく、自前の生産・供給体制の確保であることを、この「トルティーヤ危機」は示している。