農試祥と環境省は1月23日、(独)林木育種センターの申請した隔離圃場での遺伝子組み換えギンドロ2品種の栽培について意見募集を始めた。締め切りは2月22日。
今回の申請では、茨城県日立市にある(独)林木育種センターの隔離圃場で2012年12月までの5年間栽培される予定。ギンドロ(銀泥)は、中央アジアなどが原産でヤナギ科ハコヤナギ属に属し、ハクヨウ(白楊)あるいはウラジロハコヤナギ(裏白箱柳))ともいう。国内では街路樹や園芸樹として使われている。
この遺伝子組み換えギンドロは、コウジカビ(Aspergillus aculeatus)由来のキシログルカナーゼ遺伝子が組み込まれたもので、セルロース含量と比重が高いという特徴はパルプ原料として適しているとしている。将来、パルプ原料として適していて生物多様性に影響がないと判断された場合、栽培管理の容易な条件で栽培し、開花樹齢の前に伐採してパルプ原料として利用することを想定している、と明らかにしている。
・高セルロース含量ギンドロ (trg300-1) ・高セルロース含量ギンドロ (trg300-2) ・環境省, 2007-1-23この遺伝子組み換えギンドロに関し、京都大学生存基盤科学研究ユニットのサイトに「組み換えポプラ」としてメカニズムの説明があり、2002年に同研究所で作出としている。13ページには、今回申請の隔離圃場の写真が掲載されている。さらに、インドネシアでの組み換え樹木を使った共同森林再生プロジェクトと、イスラエルにおける組み換えユーカリの野外試験の2つが例示されている。
・京都大学生存基盤科学研究ユニット 生存圏研究所この遺伝子組み換えギンドロは、申請書の枠を超えた国際的なプロジェクトの一環のようである。ギンドロ自体は北方系の植物であり、インドネシアの熱帯雨林で生育が可能ではないだろうが、現地に適した樹種に問題の遺伝子を組み込んだ試験栽培がスタートしている模様である。これが、申請書で述べられているような「高セルロース」という形質であり「パルプ原料」として有用であれば、製紙会社による新たな熱帯雨林の破壊と組み換え樹木による単一林化をもたらす可能性を持っているだろう。