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米国食品医薬品局(FDA)は昨年末、クローン動物は安全であり表示なく食品として流通可能という見解をあきらかにした。このFDA見解にバイテク業界は、「有機飼養されたクローン動物由来食品は有機」といい、消費者団体はクローンは遺伝子組み換え食品と同じであり、「クローン」の表示が必要であると主張している。このあたりは産経新聞などが報じている。
・フジサンケイ ビジネスアイ, 2007-2-5この“論争”の元は、「クローンは遺伝子組み換えでない」というFDAの定義によるもの。遺伝子組み換えでない以上、一般の食品として扱われ、有機栽培なら有機ラベルも付けられるという解釈である。昨年の調査では、米国では65%がクローン動物由来の肉や牛乳を食べないと回答している。こうした中、米国上院に2月8日、クローン動物由来食品に表示を求める法案(S.414、Cloned Food Labeling Act)が提案された。
Wisconsin Ag News によれば、この法案の提案議員の一人は、「この法案は(米国)の有機基準の健全性を守ることにある。クローン動物由来食品の流通が議論される前に、それが有機ラベルをつけて市場に出回ることができない状況で始まることを望む」と語ったという。
・Wisconsin Ag, 2007-2-9提案した議員のもう一人は「市民が、クローン由来であるかを知ることは当然であり、法案は情報に基づいた決定(informed decision)に役立つ」と語っているという。こうした動きに米国の食品安全センター(The Center for Food Safety)は、クローン動物の流通認可自体に反対するが、この法案に賛成すると表明した。さらに同センターは、そのサイトから地元の上院議員にメッセージメールを送るページを開設し、法案に賛成するように呼びかけている。
・The Center for Food Safety, 2007-2-8この問題に関して米国のOrganic centerは、クローン技術とその歴史的展開、FDAの提案の意味するもの、食の安全や有機農業に与える影響などを分析、解説した文書(23ページ、PDF版)を公開している。
・Organic center米国の有機基準の提案当初の案では、遺伝子組み換え作物も有機栽培なら「有機」とされていたが、30万人ともいわれる生産者や消費者の反対で除外されたという経緯がある。FDAは4月3日まで意見募集のあと、認可するスケジュールになっている。このクローン動物の流通認可の問題は、決して対岸の火事ではない。認可され次第、いずれ米国産のクローン由来の乳製品という形で輸入されるだろう。同時に、日本国内でのクローン動物の流通問題として浮上してくると予想される。また、米国が認可すれば、それは、すぐにWTOを介した通商問題となることも確実だろう。