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琵琶湖を抱える滋賀県は、同県の「環境こだわり農業推進基本計画案」について意見募集を2月28日まで行っている。この基本計画は、化学肥料や化学農薬の使用削減などにより、琵琶湖などの環境保全に寄与しようというもので、生産者、販売者、消費者に「環境こだわり農産物」の推進を呼びかける内容となっている。化学合成農薬の使用量削減目標も99年比で30%減というようなレベルとなっている。
その内容にはいくつか注目すべき点がある。基本方針の最初に「環境こだわり農業が滋賀県農業のスタンダードとなるように推進します」とあり、その「課題」の一つに、先ごろ施行された有機農業推進法により策定される国の基本計画を踏まえて対応する必要があるとしている。
同基本計画案は「施策の方向」として「化学合成農薬と化学肥料の使用量の削減」をあげている。その削減実現に「病害虫抵抗性品種の導入」「水稲の温湯種子消毒等の導入」などをの技術導入を推進するとしている。さらに唐突ながら、遺伝子組み換え品種を使わないことを次のように明記している。
遺伝子組換え技術を利用して育成された種苗等は、「有機農産物の日本農林規格」に準じて、使用しないものとします。
・滋賀県, 2007-1特別栽培レベルとはいえ、「病害虫抵抗性品種の導入」を具体的な施策の一つとしてあげつつ、その一方で遺伝子組み換え品種の不使用を明記していることは評価できる。これは、おそらく、消費者の遺伝子組み換え食品に対する不安や不信、反環境イメージを汲み取っての「GM不使用」と思われる。北海道や新潟県によるGM作物栽培規制条例の制定が相次ぎ、農水省による「圧力」があるといわれるなかで、こうした方針を明記したことの意味は大きいだろう。もう一つ、有機農業推進法による基本計画への配慮を明記した点も、「環境こだわり農業」の将来方向を暗示したものとして評価に値する。
こうした点は、反有機農業やGM推進の立場の人たちから批判的な意見が出されるものと思われる。「病害虫抵抗性品種の導入」とGM不使用は“論理矛盾”と批判、非難されることが予想される。
GM推進の立場の農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)は新潟県の条例制定に際し、条例制定反対の強い意見を提出している。そうした意見へ対抗する意味で、大いにこの方針を堅持、発展させ、より有機農業に近づくように、というような“後押し”の意見を出すべきだろう。
・滋賀県, 2007-1