最終更新日:2007年4月3日
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2007.04.03 No.442
■BSE=プリオン説は有力に過ぎない、と教科書検定

 3月30日の時事通信よれば、高校教科書の生物2でBSEの原因が異常型プリオンとの記述に対して、「プリオン説が確定した事実と誤解する恐れがある」などとする検定意見が付いたという。

 この検定意見を受けて、「BSEもそのようなしくみで起こる可能性が指摘されている」(第一学習社)、「(BSEやクロイツフェルト・ヤコブ病では)異常プリオンの蓄積によって、脳が海綿状になるなどのさまざまな症状が表れると考えられている」(数研出版)と断定的な表現を改めているという。

 ・時事通信, 2007-3-30

 つい最近でも沖縄戦での軍による自決命令はなかったと“断じ”たり、何かと物議をかもす教科書検定ではあるが、国の政策も世論もBSEの原因は異常プリオンで一気に走っているなかで、“英断”とも思える検定意見であり、評価できるだろう。

 実際、今年に入って1月31日には、ウイルスと断定しているわけではないが、米国・エール医科大学の研究チームが、vCJDやスクレーピーに感染した神経細胞にプリオン分子ではない25nmのウイルスサイズの“小片”を発見したと報告し、異常プリオン原因説への疑いを示している。

 ・National Academy of Sciences, 2007-1-31

 NewScientist は3月18日、従来のBSEが羊のスクレイピーを起源とする説に疑問を呈する記事を掲載している。それによれば、従来説を確認するため、スクレイピーの羊を牛に与える再現実験は失敗した。一方、高齢の牛に現れるBASE(Bovine Amyloidotic Spongiform Encephalopathy:牛アミロイド型海綿状脳症)が変化してBSEになったと考えると合理的だという。その証拠としてイタリアや日本で発見された非定型BSEを挙げている。

 ・NewScientist, 2007-3-18

 先のウイルス(?)や自然に起きるBASEが原因であれば、飼料規制だけではBSEが根絶できないことになる。その場合、異常プリオンは原因ではなく、単なる指標(マーカー)にすぎなくなるからである。