
米国環境保護庁(EPA)は昨年10月、シンジェンタ社の害虫抵抗性GMトウモロコシMIR604(商品名 Agrisure RW)を承認した。現在、このGMトウモロコシは米国以外では承認されていない。トウモロコシの播種シーズンに入ってシンジェンタ社は、このMIR604の供給を開始し、同社は農家に対し、このGM種子で生産されたトウモロコシは国内向け施設にのみ販売するという契約書に署名するよう要求したという。同社は今年初めてこのMIR604(Agrisure RW)の販売を始めたが販売量は公表していないという。
これに対して輸出業者団体(The National Grain and Feed Association と North American Export Grain Association)は、このGMトウモロコシが輸出向けトウモロコシへの混入や汚染を恐れ、同社に対して供給を見合わせるように要請していた。輸出業者の一人は、過去にはGM種を隔離して生産しようとしてきたが、風による花粉の飛散や混入などによって、完全隔離は無理であることが分かった、とし、「何度も隔離しようという取組は、毎回失敗に終わっている。シンジェンタ社が今回のGMトウモロコシを販売したのは無責任だと思う」という。
・Reuters, 2007-4-24 ・AgWeb, 2007-4-5 ・University of Illinois, 2006-11-3シンジェンタ社のこのGMトウモロコシは2006年5月、農水省から食品安全委員会に対して食品と飼料の両方に対して安全性審査を求めているが、同委員会遺伝子組換え食品等専門調査会では4月16日に審査が再開されたばかりであり、早期に承認されそうにないと見られている。一方、生物多様性影響評価検討会は、2006年10月に「生物多様性に影響はない」と承認している。
・生物多様性影響評価検討会, 2006-10-5米国の輸出業者の危惧する事態となれば、シンジェンタ社はスターリンク、Bt10に続く3度目のGM汚染(混入)を引き起こすことになる。