- ダイオキシンに汚染されたグアーガム 原料はインド産
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原料はインド産
swissinfoは7月30日、スイス・Tages-Anzeiger紙の報道としてスイスの食品メーカーUnipektin社の製造したグアーガム(商品名「Vidocrem」)が、12〜156ピコグラムのダイオキシンとペンタクロロフェノール(PCP、殺菌剤、殺虫剤)で汚染されていたと報じた。この汚染は7月13日にドイツでの検査で見つかった。ダイオキシンのEUでの基準は、1グラムにつき1〜6ピコグラムである。
グアーガムは、グアー豆の胚乳部の粉末より得られる多糖類で、増粘剤やゲル化剤などの食品添加物として利用される。スイス・トゥールガウ(Thurgau)州は、消費者の健康に対する危険が無視できないとして、汚染された「Vidocrem」の回収を命じ、EU当局も7月25日に加盟国への警告を発したという。同州の保健当局者は「消費者の健康は、深刻な危険にさらされなかった」としている。
Unipektin社によれば、問題のグアーガムはIndia Glycols社(インド)より輸入された原料が汚染されていたとしている。同社は、2年前よりIndia Glycols社のグアーガムを使用してきたが、グアーガムのリスクが大きくはないとしてダイオキシンの検査はされてこなかったという。また、India Glycols社は同社の主要な原料供給元(サプライヤー)ではないとしている。汚染された製品は数トンに上ると見られている。この汚染されたグアーガム製品は、スイス国内のみならずドイツ、フランスなどの欧州各国やオーストラリア、日本などに輸出されたという。
・swissinfo, 2007-7-30 ・UNIPEKTIN, 2007-8-3Unipektin社は8月10日、2006年から2007年にかけてのIndia Glycols社のグアーガムのサンプルを検査した結果、高い濃度のダイオキシン、フラン、ペンタクロロフェノール(PCP)を検出したと発表している。検出濃度については公表していない。また、8月13日の追加情報では、これまでの検査結果から、汚染源は梱包材などではなく、工程中の汚染された水か処理助剤ではないかとの見方が強くなってきている、と発表している。
・UNIPEKTIN, 2007-8-10India Glycols社は、そのグアーガム製品を商品名「IGGUAR」で世界中に輸出しているとしている。
Unipektin社のグアーガム製品は、日本ではユニテックフーズ社が輸入し販売しているようである。
ダイオキシンとともに検出されたペンタクロロフェノール(PCP)は、日本では1950年代半ばに農薬として登録され、水田用の除草剤やいもち病などの殺菌剤、防腐剤などに使われてきた。副生成物としてヘキサクロロジベンゾダイオキシンを含むことが問題となり、1990年に農薬登録が失効している。環境ホルモンの疑いがあるという。
今回インド産のグアーガムからPCPが検出されたということは、汚染源がUnpektin社の発表のように工程中の処理水であるとすれば、インドの水に高濃度の農薬汚染が起きているということになる。原料のグアー豆自体の汚染についてもまだその可能性は残っている。