
米国農務省動植物検疫局(APHIS)は1月3日、ダウ・アグロ・サイエンスの除草剤2,4−D耐性遺伝子組み換えダイズとトウモロコシについて、その承認へ向けて環境影響評価書の草案を提示し意見募集を始めると発表した。
今回対象となったのは、いずれもベトナム戦争で大量に使用された枯葉剤の成分の一つである除草剤2,4−Dに耐性のあるGMトウモロコシ1品種と、グリホシネートなどにも耐性のあるダイズ2品種。APHISは昨年5月、36万人余りの反対意見に、一般の承認手続きとは異なる、より厳しい環境影響評価の実施に追い込まれていた。
除草剤2,4−Dそのものの使用については、米国環境保護局(EPA)で審査されている。
グリホサート(ラウンドアップ)など第一世代の除草剤耐性GM作物は、それらに耐性をもったスーパー雑草の蔓延により、その効果がなくなってきている。モンサントなどは、ジカンバなど新たな除草剤耐性のGM作物を開発してはいるものの、結局のところ、これらにも耐性のあるスーパー雑草の出現は確実視されてる。自然の英知の前には、人間の浅知恵なんぞ大したことはないということだろう。モンサントなどのGM企業にとっては、このイタチゴッコが十分に飯のタネになる以上、なかなか手放しはしないだろう。
別の問題としては、使用量の増大が挙げられる。2,4−D耐性GM作物が承認されるならば、その使用量は年間約4万トン増えるとも見積もられていると、食品安全センター(Center for Food Safety)は、APHISの発表を受けての声明で指摘している。また、これまでも散布した2,4−Dが、空気中に長時間漂い、広い範囲に拡散するとも指摘されている。
・Center for Food Safety, 2014-1-3除草剤2,4−Dは、ベトナム戦争で使用された3種類の枯葉剤のうちオレンジ剤(エージェント・オレンジ)の成分であり、発がん性などが指摘され、ベトナムの人々ばかりか従軍兵士とその子供たちにまで多大な健康被害を及ぼす原因物質の一つして疑われている。1995年にEPAは、オレンジ剤の成分の一つであるの2,4−5Tの使用を禁止している。