
カロリーベースの食料自給率が約40%の現在、日本の種子の自給率は10%以下といわれている。農水省も具体的な統計値を把握していないのが実情である。野口種苗(埼玉県飯能市)の野口さんによれば、2000年ごろには、すでに10%を割っていたのではないかという。食料安全保障の点からも、種子の自給率の低さが問題となっていないこと自体が問題ではないか。
長野県長野市信州新町にある信州山峡採種場は、長野県の北部から中信や東信に地域限定だが採種農家を募集している。種採りが未経験でも懇切丁寧に指導するそうだ。「農業をやった事のない方でも挑戦出来ます」としている。該当地域であれば、本格的に採種技術を学ぶことができる、よい機会といえよう。
農林水産先端技術産業振興センターによる「海外及び国内野菜採種現地調査報告書」(2008年)によれば、国内の採種農家は高齢化と規模縮小が進んでいる傾向だとしている。報告書の中で、信州山峡採種場と思われる長野県のS社は、機械化しにくい面はあるものの、高齢化家族産業のモデルだと回答している。高齢者ほど技術レベル高く、種子の品質も高いそうだ。
信州山峡採種場は、同社のサイトなどによれば、1947年に採種農家が設立した犀峡採種組合が母体の種苗会社。全国の種苗会社約40社の開発した野菜種子の生産委託を受けて、一部の採種は中国で行っているが、主に長野県北部で採種を行っている。約280戸(2008年)に委託し、集落ごとに採種グループを組織している。
・農林水産先端技術産業振興センター, 2008-11●美味しい野菜は自分で作ろう
委託生産を受託する中で信州山峡採種場は、種苗会社の品種開発が「味の優先順位は第5番目か、という感じがしてきます」と、見た目の良さが優先されているのではないとの結論に達したという。結局「おいしい野菜を食べたければ自分で作りましょう!ということです」とも述べ、市販の種は量が多くて往々にして無駄になるので、自家菜園専用の種として最小の100円単位の小袋で販売している。
・信州山峡採種場