農水省は2月28日付けでモンサントの除草剤ジカンバとグリホサート(ラウンドアップ)耐性遺伝子組み換えダイズの掛け合わせ品種の開放系での栽培を承認した。これにより栽培を承認されたGM大豆は10品種となる。このGM大豆の片方の親品種であるジカンバ耐性ダイズMON87708は、すでに昨年10月に開放系での栽培が承認されている。また、今回承認されたこのGMダイズ(MON87708XMON89788)は、2月12日に厚労省がGM食品として承認している。
・農水省, 2014-2-28このジカンバ耐性GM大豆は、米国ではまだ承認されていない。除草剤のジカンバは、散布後広範囲に漂流し拡散し、周辺環境に及ぼす影響が大きいと指摘されていて、影響を受ける有機農家などからの反対も強い。米国農務省は昨年5月、約3万通のジカンバ耐性品種承認反対の請願を受け、ジカンバ耐性品種が初めて申請されるものであり、その環境影響を評価する必要があるとして環境影響評価書(EIS)を作成すると発表している。
こうした生産国での栽培承認に先立つ消費国での承認は、「円滑な流通」が優先された結果にすぎない。消費国の承認がない場合、未承認品種の混入によって輸入拒否され、数千トン、数万トンを送り返すことになる。昨年秋より中国は、GM企業大手のシンジェンタの未承認GM品種の混入を理由にして、約60万トンの米国産トウモロコシの輸入を拒否している。日本が承認を急ぐ理由はここにある。現に、混入による輸入拒否を危惧する米国の生産者団体や穀物メジャーの一部は、日本や中国の未承認品種を栽培しないように農家に呼びかけている。
農水省は昨年12月、除草剤ジカンバの残留基準値を大幅に緩和するとともに、モンサントの除草剤ジカンバ耐性遺伝子組み換えダイズの承認を見越した新たにダイズの米国並みの残留基準値を設定している。この改定ではトウモロコシの残留基準値は据え置かれたものの、米国より5倍大きな基準値となっている。
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