
背景にGM推進の国際アグリバイオ事業団
遺伝子組み換え作物の試験栽培を北海道立総合研究機構(道総研)に要請した署名は、GM作物栽培推進の国際的な組織である国際アグリバイオ事業団(ISAAA)などが開催したGM作物栽培の講演会参加者であることが分かった。
ISAAAの記事によれば、日本バイオテクノロジー情報センター、北海道バイオ産業振興協会と国際アグリバイオ事業団が今年3月、北海道岩見沢市と北見市で開催した遺伝子組み換え作物推進のフォーラム参加者50名が要請書に署名した、としている。記事ではまた、リーダーの馬場広之氏が、多くの署名を集め、できるだけ速やかに関係大臣に要望書を提出したい、と語ったとしている。
この記事では道総研に要望書を提出したという「北海道農民協会」の名前は出ていない。
このフォーラムで参加者は、日本におけるGM作物栽培のメリットや将来性とともに、GMトウモロコシ栽培に関するフィリピンの経験について説明を受けたという。その上で、冨田房男氏(日本バイオテクノロジー情報センター代表)から、日本におけるバイオテクノロジーと遺伝子組み換え供物に関する現状と、国際アグリバイオ事業団のRhodora博士とAldemita氏から世界とフィリピンの遺伝子組み換え作物の商業栽培の状況説明があった、としている。
岩見沢市のフォーラムでは、長沼町で西南農場を経営する宮井能雅氏が、GM作物を含む新技術導入に関する意見を述べたという。宮井氏は98年と99年に、輸入したモンサントのラウンドアップ耐性GMダイズを栽培し、収穫した8トンを販売したことを、2004年になって公表している。
フォーラムを開催した団体の一つである、北海道バイオ産業振興協会は、こうした講演会を北海道各地で頻繁と開催しているようだ。
北海道は、試験栽培を含むGM作物栽培について、罰則付きの条例で一定の規制をかけている。北海道内でのGM作物栽培には、8割の道民が栽培を懸念しているという調査結果もあり、容易ではないと思われる。しかし、北海道のように条例でGM作物栽培を規制している自治体は、新潟、神奈川など数少ない。カルタヘナ法で一般開放系での栽培が認められたGM作物は、トウモロコ シの68品種など合計110品種を数える。こうしたGM作物が、規制のない自治体で栽培される可能性がないとはいえない。
・ISAAA, 2015-4-1 ・共同通信, 2004-10-1 ・日本有機農業研究会『土と健康』, 04年11月合併号 ・農水省道 県 | 規 制 内 容 |
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北海道 | 一般栽培は知事の許可、試験栽培は届出 |
新潟県 | 一般栽培は知事の許可、試験栽培は届出 |
神奈川県 | 開放系栽培の計画届出 |
都府県 | 規 制 内 容 |
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岩手県 | 一般圃場での栽培中止要請 |
宮城県 | 栽培計画書の事前提出 |
茨城県 | 開放系栽培の情報提供 |
東京都 | 栽培計画書の事前提出 |
滋賀県 | 栽培の自粛要請 |
京都府 | 交雑混入防止措置の義務付け |
兵庫県 | 生産・流通上の混乱防止の未然防止の指導 |
徳島県 | 交雑混入防止措置の義務付け |
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