最終更新日:2015年9月7日
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2015.09.07 No.684
■【案内】国際有機農業映画祭2015
国際有機農業映画祭2015チラシ
  [画像クリックで拡大]

 9回目を迎える今年の国際有機農業映画祭は「農をつなぐ」をテーマに、12月20日(日)に開催される。今回の上映は6作品。そのうち3作品は日本初公開作品。また、昨年他界された小泉修吉監督の『農薬禍』が追悼上映される。

 ・国際有機農業映画祭2015
 ・チラシ


 今回の上映作品では、3本が初公開。『種をつぐ人びと』(原題“Open Sesame”)は、モンサントに象徴される遺伝子組み換え(GM)種子と種子産業の寡占化の進行に対抗する人びとの姿を描いている。在来種の保存と継承を進める人びと。種子主権は自分たちにあると訴える有機種子農家。クラウドファンディングで資金を集め、有機種子の供給に立ち上がった若者。GM種子の試験圃場が集中し、大量に散布される農薬汚染に反対するハワイの人びと。タネを自分たちの手に取り戻そうとする人たちを追っている。

 『偽善の米』は、商業栽培が目前とされる遺伝子組み換えの米・ゴールデンライスに反対するフィリピンの人びとの声を集めた作品。ビタミンA欠乏症の予防を表看板にして、ゲイツ財団などが多額の資金を投入し、国際稲研究所(IRRI)で開発が進められてきたゴールデンライスが、その後ろに控えたいろいろなGM作物の商業栽培への突破口としての位置にあると喝破する。このようなGM米を食べなくても、緑黄色野菜を食べることで解決できる。GMゴールデンライスの建前が偽善にすぎないことが浮かび上がってくる。

 『都市を耕す ―エディブル・シティー』(原題“Edible City”)は、米国カリフォルニアで展開される、遊休地を畑にしようとする運動を描いた作品。単に畑にして野菜つくりを楽しもうというのではなく、ジャンクな食事をとらざるを得ない都市における食糧供給問題との連携や、99%運動との関連、学校での食育の展開など具体的な実践を描いている。

 『農薬禍』は、1960年代の農薬散布で健康を蝕まれていた農家の状況を追った作品。昨年なくなられた小泉修吉監督を追悼しての上映。

 『草とり草紙』は、息子が売り渡した成田空港二期工区内の自宅に一人で住む86歳のばあちゃんの一人語り。「あんまりいいと思って暮らしてなかったなぁ」と言いながら「今、一番いいよ。一生で今一番」と語る。戦前、戦後を、国策に翻弄されながらも、たくましく生き抜いてきた一人の農民の生き様が浮かび上がる。1985年の作品。

 『アラヤシキの住人たち』は、信州・小谷村の山奥にある、大きな屋根のアラヤシキ(新屋敷)で繰り広げられる、共働学舎の人びとのゆったりとした物語。

農ってなんだか平和っぽい、平和ってなんだか農っぽい。
ばあちゃん や じいちぁん、
 そのまた先の ばあちゃん や じいちぁん、
  そのまた先の ばあちゃん や じいちぁん が
   受け継ぎ、伝えてくれた営みを、
今の世に、次の世に、
 そのまた次の世に、たすき のように渡したい。

2015年の国際有機農業映画祭、そんな思いを込めました。

国際有機農業映画祭
共同代表 大野和興

●国際有機農業映画祭2015 概要
日 時:12月20日(日)10:00〜19:40
会 場:武蔵大学 江古田キャンパス
1号館〔B1〕1002シアター教室
アクセス:
【西武池袋線】「江古田駅」より徒歩7分
【西武池袋線】「桜台駅」より徒歩8分
【都営大江戸線】「新江古田駅」より徒歩9分
【東京メトロ副都心線】「新桜台駅」より徒歩7分
【東京メトロ有楽町線】「新桜台駅」より徒歩7分
参加費:一般:前売 1,500円・当日 2,000円
25歳以下:前売 500円・当日 1,000円
※25歳以下の方は、当日、証明書提示のこと
●上映作品
[初公開]
『種をつぐ人びと』 予告編
 (2014年/米国/82分)
 この100年で90%の在来種が絶滅したという。種の多くは遺伝子組換え種子や一代雑種(F1)になり、大量生産に向かない在来種をつなぐ人たちが減ったからだ。今や種は巨大企業に独占され、農家が自由に種を採り、蒔くことはできない。種は誰のものか。この問題に立ち向かい、在来種を広げる取り組みを描く。
[初公開]
『偽善の米』
 (2014年/フィリピン/19分)
 美しい棚田のあるフィリピンでは古くから米が作られてきたが、その伝統や食が危機に直面しようとしている。米には含まれないカロテンを作り出す遺伝子組み換え(GM)の米、ゴールデンライスが商業栽培されようとしているからだ。
この遺伝子組み換えゴールデンライスは、文字通り黄金色の米となる。この米を食べれば、失明に至るビタミンA欠乏症が予防できるとの触れ込みで、フィリピンに本部を置く国際イネ研究所(IRRI)が中心となって、ゲイツ財団などの資金で開発が進められてきた。
 GMゴールデンライスの商業栽培には、遺伝子汚染を心配する有機農民はもとより、保育関係者、宗教者、シェフなどが懸念を明らかにする。元国際稲研究所の研究者ですら、緑黄色野菜を食べることで解決する問題であり、貧しい人びとはこの米も買わねばならないとして商業栽培に反対する。
 国会議員は、病気の予防を表看板としたGMゴールデンライスの商業栽培を突破口に、遺伝子組み換え作物を大々的に栽培しようとするものだ、とこの動きを喝破する。GMゴールデンライスの金色は、希望の金色ではなく偽善のメッキにすぎない。
[初公開]
『都市を耕す―エディブル・シティ』 予告編
 (2014年/米国/56分)
 現代の理不尽な食システムをひっくり返そうと立ち上がった人々。市民は都市農民となり、空き地を畑に変え、都会で自給する先端的な生き方を選んだ。場所はサンフランシスコ・ベイエリア。草の根の卓越した市民の力が巻き起こす食革命への挑戦は、地産地消の田舎の風景を都市に創造していく。
『農薬禍』
 (1967年/日本/38分)
 昨年他界された小泉修吉監督の代表作を追悼上映。「日本では、農薬による人体実験を行っている」と海外から揶揄されるほど有機リン系の殺虫剤ホリドールなど、急性毒性の極めて高い農薬を大量に使っていた1960年代に、農民たちが農薬によって健康を損なわれて苦しんでいる様子と死者まで出た状況を、当時の佐久総合病院の現場の様子と医師たちの証言を交えて描いた貴重な映像。
『草とり草紙』
 (1985年/日本/78分)
 「国際空港をつくるから出ていけ」といわれた三里塚の百姓たち。生き方をかけた闘いが始まる。戦前、戦後を生き抜いた一人の女が、畑の草を取り、種をまきながら語る。話はあちこちに飛び、いっこうにまとまらないが、そこに確実に人生がある。この時86歳、二期工区内に一人で住み「今 一番いいよ。一生で 今が一番」という、染谷のばあちゃんの一人語り。成田空港建設が始まって来年で50年。百姓の闘いは今も続いている。
『アラヤシキの住人たち』
 (2015年/日本/117分)
 のっけからみんなバラバラ。自分のリズムでラジオ体操をしている人たち。冬の間、里に降りていたヤギとともに、1年を一緒に過ごす学生が上がってくる。春が里から上がってくる。車の通らない道を上がってくる。
 「カン、カン、カン」板木が鳴る。この音で一日が回る。季節も巡る。田植えをして稲刈りをして……、ヤギが子を孕む。雪が降りはじめれば、百葉箱がかさ上げされる。そういえば、住人の出産や結婚式もあった。
 長い人では35年も暮らしている一方、風に寄せられては散っていく人たち。ふらりと戻ってきた人がいる。受け入れるか否か話し合いは続く。「いいじゃない、仕事助かるし」の一言がみんなを救う。一瞬、時間を止めることの出来る人さえいる。信州小谷村の片隅、大きな屋根のアラヤシキ(新屋敷)、共働学舎と呼ばれる空間に住む人びとの物語がはじまる。

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