

南アフリカ農業省はこのほど、米国の支援を受けて開発された害虫抵抗性の遺伝子組み換え(GM)ジャガイモの商業栽培について承認しない決定を下した。このGMジャガイモの承認に反対してきたアフリカ生物多様性センター(ACB)は9月16日、決定に満足とする声明を発表した。

ロシア政府はこのほど、遺伝子組み換え(GM)が懸念される限り、食料生産においてGMを使わないと決定した、とロシアのドブロコビッチ副首相が明らかにした。キーロフ市でバイオテクノロジーに関する国際会議で語ったというもの。一方では、科学と医療などに関しては研究を続けるとしている。

スコットランド行政府は8月9日声明を発表し、スコットランドのきれいな、緑の地位を保護するために遺伝子組み換え(GM)作物栽培を禁止するとの方針を明らかにした。リチャード・ロックヘッド農務長官は、GM作物栽培により「美しい自然環境」というブランドが打撃を受ける懸念があり、栽培禁止により140億ポンド(約2兆7千億円)の食品産業の将来を賭けるとした。さらに、GM食品が消費者の支持を得られていないこと、GM作物が栽培されていないことがスコットランドの農産物にプレミアとなっていることなどをあげた。

フランスは9月17日、加盟国に遺伝子組み換え作物(GM)の栽培規制を委ねるとするEUの新しいGM規制制度を使い、GMトウモロコシの栽培禁止を決め、EUに通告した。

EU議会は9月8日、クローン動物でないこと、あるいはクローン動物の子孫でないことが証明できない場合、輸入を禁止するとする議会報告書を賛成529、反対120で採択した。反対のうち33票は英国選出議員による。背景には、クローン技術に対するEU市民の根強い懸念がある。

米国農務省動植物検疫局(APHIS)は8月28日、シンプロット社のジャガイモ葉枯れ病耐性・アクリルアミド低減遺伝子組み換えジャガイモの栽培を承認した。このGMジャガイモは、新たに葉枯れ病耐性を付加した“第二世代”になる。

米国マクドナルドは9月9日、米国とカナダの約1万6千店で使用する卵を、今度10年間で、完全に平飼いの卵に移行すると発表した。消費者の好みの変化と動物福祉の観点からの決定としている。日本での展開はなさそうだ。

米国の巡回控訴裁判所は10日、ダウ・アグロサイエンスの新しいネオニコ系農薬であるスルホキサフロルについて、2013年5月の米国環境保護庁(EPA)の認可を、連邦法(Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Act)に違反するとして、認可無効の判決を下した。この結果、EPAが再認可するまで使用が禁止されることになる。この裁判は、米国の米国蜂蜜生産者協会( American Honey Producers Association )など養蜂関係4団体と個人が、環境保護庁とダウ・アグロサイエンスを訴えていたもの。
9回目を迎える今年の国際有機農業映画祭は「農をつなぐ」をテーマに、12月20日(日)に開催される。今回の上映は6作品。そのうち3作品は日本初公開作品。また、昨年他界された小泉修吉監督の『農薬禍』が追悼上映される。
今回の上映作品では、3本が初公開。『種をつぐ人びと』(原題“Open Sesame”)は、モンサントに象徴される遺伝子組み換え(GM)種子と種子産業の寡占化の進行に対抗する人びとの姿を描いている。在来種の保存と継承を進める人びと。種子主権は自分たちにあると訴える有機種子農家。クラウドファンディングで資金を集め、有機種子の供給に立ち上がった若者。GM種子の試験圃場が集中し、大量に散布される農薬汚染に反対するハワイの人びと。タネを自分たちの手に取り戻そうとする人たちを追っている。
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
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