中国は、本格的に主食作物の遺伝子組み換え品種の商業栽培に踏み切る方針、と中国日報が報じた。2016年からの第13次5カ年計画において、害虫抵抗性GMトウモロコシの商業栽培を推進する、と中国農業部の遼・科学技術教育司長が4月13日の記者会見で明らかにした。
中国はこれまで、害虫抵抗性のGMイネとともにGMトウモロコシの試験栽培を承認していたが、主食作物へのGM品種の商業栽培には、消費者の懸念に慎重とも見える姿勢をとってきた。
中国農業部の遺伝子組み換え担当部次長は3月に、「中国の遺伝子組み換えイネの開発は進展しているが、短期的には商業規模での栽培は行わない」と述べた、と環球時報が報じている。
中国の遺伝子組み換え政策は、2016年の中国共産党中央委員会の中央1号文書では「農業の遺伝子組み換え技術の研究開発と監督管理を強化し、安全を確保した上で慎重に普及させる」とされ、一応、その慎重姿勢を崩してはいない。
しかし一方では、中国化工集団公司 (ChemChina)がシンジェンタを買収(16年2月)し、中国がその遺伝子組み換え作物の商業栽培に慎重な姿勢を積極的導入へ転換するのではないかとする見方もあった。
明らかになったGM作物の商業栽培推進の方針は、将来的なGMイネの商業栽培に道を開く政策転換といえる。しかし、この転換の“成功”には、都市部の消費者のGM食品への懸念払拭がカギとなるだろう。中国は、GM食品の表示規制の強化で“回避”を狙っているのかもしれない。
中国は、食用作物へのGM品種導入推進とともに、未承認品種の市場流通への監視強化の姿勢も強調している。2015年には、新疆ウイグル自治区と甘粛省、海南島で、大規模なGMトウモロコシ栽培農場を摘発し破壊したという。こうした違法栽培については、未承認品種の栽培防止に、開発段階を含めて監視を強化し、特に農村地域での種子会社と販路の監視を強化するとしている。2016年1月、グリーンピースは、遼寧省で違法なGMトウモロコシが広範に栽培されているとする報告書を公表している。
2006年以来たびたび、中国産のコメやビーフンから未承認のGMコメの成分が検出されている。中国での食用GM作物の商業栽培が、まだGMトウモロコシに限定されるとしても、将来、GMイネの商業栽培が始まった場合には、今以上にGMコメによる汚染が懸念される。
・China Daily, 2016-4-14 ・中国農業部, 2016-03-09 ・Global Times, 2016-3-29 ・Global Times, 2016-3-7【関連記事】
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