最終更新日:2016年04月29日
2016年
 07年 08年 09年 10年 11年
 12年 13年 14年 15年 16年
 17年 18年 19年

2016年4月
12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31
最近の記事
2022.12.29 No.1152
2022.12.25 No.1151
2022.11.30 No.1150
2016年4月の記事
2016.04.29 No.698
2016.04.26 No.697
2016.04.23 No.696
2016.04.19 No.695
2016.04.15 No.694
2016年2月の記事
2016.02.27 No.693
2016年1月の記事
2016.01.21 No.692
2016.01.18 No.691
2016年4月

2016.04.29 No.698
■非GM原料のトウモロコシ菓子からGM成分
 農民連食品分析センターが検査
GM成分が検出されたトウモロコシ菓子=農民連食品分析センター提供
GM成分が検出されたトウモロコシ菓子=農民連食品分析センター提供

 農民連食品分析センターは4月28日、都内で市販されているトウモロコシを使ったスナック菓子など26点の遺伝子組み換え検査結果を公表した。原料表示が「遺伝子組み換えでない」ものとNon-GMO Projectの認証品の19点のうち7点からGM成分を検出したという。MON810(モンサント)、Bt11(シンジェンタ)など5種類の組み換え遺伝子について、その遺伝子の有無を検査する定性試験を実施して見つかったとしている。

 組み換え遺伝子が検出されたのは、いずれも「遺伝子組み換えでない」あるいは「Non-GMO Project」の表示のある製品だった。その組み換え遺伝子が検出された7点のうち3点は日本産、4点が輸入品だったとしている。

 ●農民連食品分析センター調査結果
遺伝子組み換え表示 検体数 遺伝子組み換え成分
検 出 不検出 検出不能
遺伝子組み換えでない 18 6 9 3
Non-GMO Project認証 1 1
表示なし 7 3 4
合  計 26 7 12 7

 日本の表示では分別管理がなされ、かつ意図せざる混入が5%以下であれば「遺伝子組み換えでない」と表示ができる。今回の検出は、原料のトウモロコシが分別管理されていたものの、5%以下の遺伝子組み換えトウモロコシが混入していたと推定できる、としている。

 また、遺伝子組み換え成分が検出された輸入品のスーパーイーツケールチップ入りチリライムは、米国のNon-GMO Projectの認証マークが表示されている製品だった。同センターはこの検出について、検査方法で検出できるぎりぎりものであり、この製品の混入率はかなり低いことが推測されるとしている。Non-GMO Projectの認証では、混入を防ぐガイドラインが設けられていて、実際に検査も行われる。今回の検出は、Non-GMO Projectの認めている0.9%以下の混入が生じていたためではないかと推定している。

 ●組み換え遺伝子が確認された製品
名  称 製造者/販売者
[日本産]
ドリトスナチョチーズ味 ジャパンフリトレー
ドンタコスチリタコス味 湖池屋
ミッドリーフコーンチップス テングビーフジャーキー味 鈴商(販売者)
[輸入品]
オールドエルパソタコスキットのタコ・シェル オーストラリア
西本貿易
エル サボール ナチョチップノンソルト ギリシャ
ウイングエース
スーパーイーツケール チップ入りチリライム
※Non-GMO Project認証品
アメリカ
シーエフシージャパン
チートスクランチ ジャパンフリトレー
 ・農民連食品分析センター, 2016-4-28

 今回の農民連食品分析センターの検査結果は、非遺伝子組み換えトウモロコシの混入が防ぎきれないことことを示している。日本の制度が5%以下の「意図せざる混入」を認めている点は別としても、主要な輸入先の米国での分別管理が難しいことは、これまでにも指摘されている。2007年には、米国の分別管理が行われている大型カントリーエレベーターは26%に過ぎず、将来的に輸出を妨げる可能性があると警告されていた。全農と協力してNON−GMトウモロコシの確保を図っている生活クラブ生協の現地訪問記でも、全農系の集荷業者の受け入れ基準が混入率3%だとしている。

 日本は年間約1400万トン前後のトウモロコシを輸入している。そのうち4分の3は飼料用であり残りがコンスターチやその他の食用となる。輸入先のほとんどは米国であり、その米国の9割がGM品種となっているのが現状。農業生物資源研究所の推計では、輸入トウモロコシのGM比率は約77%(2014年)となっている。また、たねと食とひと@フォーラムの推計では、NON−GMトウモロコシの輸入量は、わずかに1100トン(2013年)だという。この量は、輸入トウモロコシのわずか0.01%にすぎない。それほど確保が難しいということだろう。

 ・生活クラブ, 2015-11-27  ・たねと食とひと@フォーラム, 2015-12-10  ・農業生物資源研究所, 2015-3

 日本の意図せざる混入率5%という基準が世界的に見ても緩い。欧州は0.9%。5%だった台湾は昨年より3%へと基準を厳しくした。3%の韓国は1%へとより厳しくする方向とも言われている。世界的には、多くの国が日本より厳しい基準を設けている。混入基準の見直しは可能だといえる。それにより、今回のような「遺伝子組み換えでない」という表示の製品からGM成分が見つかることも減っていくだろう。

【関連記事】
カテゴリー
よく読まれている記事