グリーンピースは5月31日、大手スーパー6社と関東の1つの生協のオーガニック度ランキングを発表した。あわせて、2020年までに半分以上の商品に有機商品の導入を消費者とともに求める「Goオーガニック」署名を始めた。発表されたランキングのトップは、コープネット事業連合(会員数約300万人)で、以下イオン、イトーヨーカードー、ライフが続いた。ユニーと高級スーパーの成城石井、東海北陸中心のバローはオーガニック度はほとんどダメ、という残念な結果だったという。
このランキングは、有機農産物の販売量や方法と販売方針、有機農家への支援、慣行栽培品の使用農薬の基準や検査などの7項目について質問したもの。質問ではまた、ネオニコ系農薬の一つのクロチアニジン(商品名はダントツ)の残留基準値が大幅に緩和されたホウレンソウについて、ネオニコ系農薬を使っていない(ネオニコフリー)ものを調達しているかを質問している。また、斑点米の原因となっているとしてネオニコ系農薬の使用が推奨されているコメについても、ネオニコフリーのコメの調達状況を質問している。
グリーンピースはこれまでに、有機農産物について消費者アンケートを行っている。その回答では、供給不足の指摘、多少価格が上がっても買うという回答が、それぞれ約7割に達しているとしている。こうした状況を踏まえ、有機農産物の供給が不十分な大手小売各社は、有機農産物という選択肢を増やすべきだとしている。
しかし、小売各社の回答では、生協を含む各社の有機農産物供給がほとんどなく、不十分であることを示している。生協のコープネット事業連合(以下コープネット)ですら、わずか供給額の4%でしかないという。有機農産物に力を入れている生協もある。コープネットのような、大きな生協の努力が望まれる。
個別の回答を見ると、コープネットは、農家の有機転換支援やネオニコフリーのコメやほうれん草を供給している点が、得点につながっている。
一方、イオンやイトーヨーカドーは、ネオニコフリーのコメやホウレンソウの供給にほとんど取り組んでいない。ライフが、関西を中心にコウノトリ米(兵庫県豊岡市)を供給し、今後増やすとしている点が注目される。イオンの得点は、自社農園(イオンアグリ創造)での、有機への取り組みを始めていることや果菜類にネオニコ系農薬を極力使わないようにしていることなどが評価されたものという。
売上げ3位のユニーと、高級志向で親オーガニックのイメージのある成城石井が、ランキングでは低位に甘んじ、「今後有機の商品を増やす具体的な方針はない」という回答であったのは残念なところ。
・グリーンピース, 2016-5-31グリーンピースは、小売各社に対して、2020年までに半分以上の商品に有機の導入と、すぐにネオニコフリーのホウレンソウとコメへの切り替えるを求める署名サイトを開設した。コメントの記入もできる。集まった署名は、各社に伝えるという。
・グリーンピースグリーンピースは3月、有機農産物に関する消費者アンケートの結果を公表した。スーパーで有機農産物を買いたいは69%、スーパーの有機農産物の品揃えが不十分は67%、また価格が多少高くても購入するは72%だったとしている。
・グリーンピース, 2016-3ユニーと成城石井を除く各社が、今後有機農産物の供給を増やす方向(といっても品目ベースで5%から10%程度)としているのは、望ましい方向であることは間違いない。有機のシェアが1%といわれる日本の現状では、劇的な増加は望めないのも確かなところだが、有機農家をどのように増やしていくのか、農水省やJAなどとともに、小売各社自らが開拓する必要があるのでは ないか。
消費者は、こうした生協やスーパーで購入するだけではなく、地域の有機農家と直接つながることも大事なことだろう。小さくとも、直接に農家とつながり、長期的な関係を作っていくことが、消費者にとっても農家にとってもメリットがあり、地域経済や環境にとってもプラスとなる。
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