ノーベル賞受賞者107人が、グリーンピースに対して遺伝子組み換え生物への反対、特にゴールデンライスへの反対運動の中止を求める公開状を送ったと報じられた。日本人では、2014年に青色LEDで受賞した天野浩氏(名古屋大学教授)が署名している。
この公開状を公開している Support Precision Agriculture は、サイトに連絡先も何もない正体不明の「団体」。業界団体が後ろに控えていると見るのが普通だろう。目の上のたんこぶであり、社会的影響力のあるグリーンピースのGM反対運動を、ノーベル賞という権威を使い、社会的に孤立させようと「圧力」をかけようとしているかのようだ。しかし、連絡先も明記しない団体の旗振りが、果たして効果があるのか、疑問が多い。
・Russia Today, 2016-6-30● 健康問題を突破口にGMイネ栽培を目論む偽善
公開状が、ことさらにゴールデンライスに焦点を当てているところは、健康問題を突破口に遺伝子組み換えのコメの商業栽培を目論んでいるようで、偽善の臭いがぷんぷんしている。何度も商業栽培間近とアナウンスされてきたゴールデンライスは、フィリピンでは農家を含めて根強い反対運動があり、2013年には試験栽培圃場への直接行動も行われている。
遺伝子組み換えでカロテンを強化したとするゴールデンライスは、シンジェンタが開発し、フィリピンにある国際イネ研究所(IRRI)が導入に向けて動いている。このGMイネの試験栽培は、まだ数百平方メートルの小規模なものに留まり、国際イネ研究所は2014年、商業栽培はさらに先になると表明している。ゴールデンライスの商業栽培の目途は立っていないのが実情である。
ゴールデンライスには、米国国際開発庁(USAID)、ゲイツ財団、ナイチンゲール財団などにより2千万ドル以上の資金支援がなされている。
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