韓国は7月26日、アルゼンチンから輸入した飼料用小麦から未承認の遺伝子組み換え品種を検出し、廃棄・積戻しを指示したという。アルゼンチンからの全面的な小麦の輸入禁止措置はとられていない。また、見つかった遺伝子組み換え小麦がどのようなものであったのかも明らかになっていない。
(追記)7月26日付の聯合ニュース(韓国)などによれば、検出された未承認品種は、モンサントの除草剤ラウンドアップ耐性GM小麦MON71800であったとしている。このGM小麦は2013年、米国オレゴン州で自生が見つかった品種。(2016-7-30)
2013年、米国で廃棄されたはずのモンサントの除草剤耐性遺伝子組み換え小麦が見つかっている。このとき韓国は、日本や台湾などとともに、米国産小麦の輸入を一時的に禁止している。
ロイターの調査によれば、問題の小麦約7万2千トンは5月、バラ積み船でアルゼンチンより出荷されている。ブエノスアイレスの穀物輸出業者は、「アルゼチンでは遺伝子組み換え小麦の栽培は行われていない」「以前の積荷の残りにちがいない」と匿名で語ったという。
問題の遺伝子組み換え小麦が、どこで積み込まれたかについては明らかになっていない。遺伝子組み換え小麦の商業栽培はどこでも行われていないことから、試験栽培からの漏出と拡散が原因として考えられる。耐干ばつ性などの遺伝子組み換え小麦の試験栽培が、米国、オーストラリアなどで行われている。
2006年、米国で試験栽培の遺伝子組み換えイネの「漏出」が見つかり、バイエルは7億ドルの賠償を支払ったとされている。2013年に米国で見つかったモンサント除草剤耐性遺伝子組み換え小麦は、結局、どのような経路で「漏出」して汚染が起きたのかは明らかにならず「迷宮入り」している。
今回の韓国で見つかったケースは、意外と大きな問題となる可能性を秘めているかも知れない。
・Reuters, 2016-7-26日本で、飼料に未承認の遺伝子組み換え品種が混入していた場合、日本と同等の安全審査の体制のある国で承認されている場合、1%までの混入が認められている。
日本の飼料用小麦の輸入量は約31万トン(2015年)で、輸入先は、ウクライナ、英国、米国、カナダなどで、アルゼンチンからの輸入はない。食用の小麦の輸入量は約521万トンで、輸入先は米国、カナダ、オーストラリアの3か国となっている。
輸入先 | 輸入量[トン] |
ウクライナ | 113,600 |
英国 | 57,642 |
米国 | 56,909 |
その他 | 228,151 |
合 計 | 312,124 |
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