ウクライナが2017年秋から、ホエイ、粉ミルク、チーズ、バターなどの乳製品を日本へ輸出する見込み、と8月22日のスプートニク(日本語版)が報じた。スプートニクによれば、ウクライナ輸出センターが、そのフェイスブックのページで述べたものというが、この報道の真偽や詳細は不明だ。
・スプートニク, 2016-8-22財務省の貿易統計によれば、2015年にウクライナから食品としての輸入された乳製品はなく、飼料用のホエイ(乳清)が約325トンあるだけである。
チェルノブイリ原発事故から今年で30年。現状のウクライナ産乳製品の放射能レベルが気になるが、はっきりした数値は分からない。ウクライナ産乳製品が輸入されるた場合、もし放射能で汚染されていたとすると、一般食品の放射能基準値100ベクレルが適用されることになる。日本の基準値は、福島第一原発事故のセシウムとストロンチウムも放出比(1%以下)を加味して設定された。一方、チェルノブイリ原発事故のストロンチウム90の放出量は約7%と一桁違うという推定もある。また、食品中のストロンチウム90の測定値はほとんどない。公表されている測定結果は、圧倒的に放射性セシウムについてだけだ。
こうした中でウクライナ産の乳製品が輸入されるとなると、放射性セシウムだけの検査で合否を決めている現行の検査でよいのかという懸念が予想される。十分にその点を考慮した対応は必要だろう。
● ストロンチウムは脱脂乳やチーズに多く移行
原子力環境整備センターがまとめた「食品の調理・加工による放射性核種の除去率」(1994年)によれば、乳の放射性セシウムと放射性ヨウ素は約8割がホエイに移行する。しかしチーズの製法により、ストロンチウム90のホエイへの移行率が異なってくるという。レンネットを使ったチーズでは、ホエイに残るのが約8%であるのに対して、酸を使ったチーズでは約86%がホエイに残るという。(※添付写真参照)
・原子力環境整備センター, 1994-3この結果によれば、ストロンチウム90を含んだ原料乳から作られたチーズの多くに、ストロンチウム90が残ることになりそうだ。このストロンチウム残留への懸念の払拭には、ストロンチウム90を含めたチーズなどの乳製品の放射性検査と、検査結果の公開が必須だろう。
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