環境省は6月、2015年度の廃棄食品のうちロスとなる量が年間302万トンとの推計値を公表した。全国の自治体を対象に、今年3月に実施した家庭から出る食品廃棄に関するアンケート調査の回答を元にして推計値を算出したもの。
アンケート結果によれば、食品ロス量を把握するための調査を実施しているのは49自治体で、全体の3%に留まっている。そのうち9割が直接ゴミを開封して調査しているという。環境省は調査結果を元にして、全国的な食品廃棄量の推計を行い、家庭から廃棄される食品ロスが年間302万トンとしている。家庭から出る廃棄食品は年間約870万トン(農水省、2013年)とみられている。その3分の1が、工夫すれば減らすことができる「ロス」ということになる。
環境省の推計では、賞味期限切れなどの直接廃棄が105万トン、調理時に余分にカットしたりして捨てた過剰分廃棄が93万トン、食べ残しが105万トンで、合計302万トンあるという。1人当たり約25キロ。1ヶ月で約2キロの食品をロスしている計算になる。
この結果は、家庭での食品ロスをさらに減らすことができる可能性を示している。ことに直接廃棄分100万トン余りは、こまめなチェックで減らすことができる。メーカーの設定している賞味期限が切れたとしても消費できないわけではない。過剰分廃棄も食べ残しも、工夫次第で削減が可能である。今日からすぐにできることだ。
フランスは昨年、スーパーなどでの食品廃棄を減らすために、売れ残りの食品を慈善団体へ寄付するか、飼料や堆肥への転用を義務付ける法律を制定している。日本では、こうした義務的な取り組みはまだとはいえ、消費者が買い物を工夫することで削減できる可能性もある。賞味期限の新しいものを選んで買うことを止めることもその一つ。世界的には8億人余りが飢餓に直面しているという。その一方で、13億トンの食糧が廃棄されている。日本も多くの食料を輸入している現実がある。一人ひとり工夫と実践が必要なことは云うまでもないだろう。
- ・直接廃棄
- 賞味期限切れ等により料理の食材又はそのまま食べられる食品として使用・提供されずにそのまま廃棄したもの
- ・過剰分廃棄
-
- 調理時にだいこんの皮の厚むきなど、不可食部分を除去する際に過剰に除去した可食部分
- ・食べ残し
- 料理の食材として使用又はそのまま食べられるものとして提供された食品のうち、食べ残して廃棄したもの
【関連記事】
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増