最終更新日:2016年11月28日
2016年
 07年 08年 09年 10年 11年
 12年 13年 14年 15年 16年
 17年 18年 19年

20116年11月
12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031
最近の記事
2022.12.29 No.1152
2022.12.25 No.1151
2022.11.30 No.1150
2016年11月の記事
2016.11.30 No.751
2016.11.29 No.750
2016.11.28 No.749
2016.11.23 No.748
2016.11.17 No.747
2016.11.16 No.746
2016年10月の記事
2016.10.01 No.745
2016年9月の記事
2016.09.16 No.744
2016.09.14 No.743
2016.09.14 No.742
2016.09.12 No.741
2016.09.11 No.740
2016.09.07 No.739
2016.09.03 No.738
2016年11月

2016.11.28 No.749
■市販大豆製品の半数で「微量」の遺伝子組み換え大豆を検出  農民連食品分析センターが最新機器で分析
realtime_pcr_7500.jpg
募金で導入された遺伝子解析機器(提供:農民連食品分析センター)

 農民連食品分析センターはこのほど、東京都内で販売されている豆腐など大豆製品に含まれる遺伝子組み換え大豆の調査結果を公表した。対象とした製品は、いずれも「遺伝子組換え不使用」またはそれに相当する商品31製品で、約半数の15製品から遺伝子組み換え成分を検出したとしている。

 同センターでは当初、日本の意図せざる混入率が5%であることから、0.1%から5%、場合によっては5%を超えるものもあると予想していたが、最大でも0.17%にだったことから、予想以上に、分別処理がきちんと行われていると分析している。同センターは、今後、遺伝子組み換え食品の分析を増やし、混入率のデータを積み重ね、流通の実態に迫りたいとしている。

 今回の調査は、1996年より使用してきた検査機器の更新のため、昨年11月より行ってきた募金によって購入した最新の機材を使って行われたもの。同センターでは、農薬分析機器の更新も含めた募金を継続している。

 ● 国産大豆製品からは不検出

realtime_pcr_7500.jpg
組み換え遺伝子を検査した豆腐(提供:農民連食品分析センター)

 同センターの検査結果によれば、検査した豆腐、豆乳、油揚げ、納豆など31製品中、遺伝子組み換え大豆成分を検出したのは、約半数の15製品。残り11製品は不検出で、5製品は検査不能だったという。

 豆腐は15製品中8製品から、遺伝子組み換え大豆が0.01%から0.17%で検出されているが、これらの製品の表示では「遺伝子組み換えでない」とするもので、原料大豆が国産、あるいは中国産(有機)では不検出となっている。米国やカナダなどの生産国で遺伝子組み換え大豆と非組み換え大豆の分別がなされているとはいえ、米国では90%以上が遺伝子組み換え品種である。製造メーカーで意図的に混入させていることは考えにくく、混入を完全に防ぐことには無理があることを示しているといえる。しかし、検出された最大値の0.17%は、EU基準の0.9%も十分にクリアしている。

  表1 農民連食品分析センター調査結果概要
検出 不検出 検査不能
豆腐 8 7
油揚げ 3 1 1
豆乳 1 2
納豆 1 3
水煮等 1 1
プロテイン 2
合 計 15 11 5

 法的には、日本国内でも遺伝子組み換え大豆の栽培は可能である。しかし、一部の隔離圃場以外での栽培は確認されていない。このため、原料大豆の混入がない限り、国産大豆を原料とする製品からは遺伝子組み換え成分は検出されないことを示した結果となっている。

 ・一般社団法人農民連食品分析センター, 2016-11-25

 ● トウモロコシ製品や外食も視野に調査を拡充へ

 同センターでは、今後、大豆ばかりでなくトウモロコシ製品にも検査範囲を広げ、データを積み上げて流通実態を把握したいという。素材や加工食品だけでなく、外食産業にも検査を拡げていきいたいという希望も持っている。その上で、現在の混入率5%が実態とかけ離れていれば、混入率の低減を働きかけていきたいとしている。同センターはまた、こうした検査活動へ一緒に行う仲間も募っている。

 日本の混入率5%は、東アジアだけでも、また世界的にも規制は立ち遅れている。

  表2 日台韓中とEUの遺伝子組み換え食品表示
混入率 全成分表示 検出できない
GMタンパク質
台湾 5%→3% 表 示
韓国 3% 検討開始 不 要
中国 1% 表 示
EU/td> 0.9%% 原料がGM
であれば表示

 ● 検査機器の更新に募金を継続

 農民連食品分析センターは1996年、全国の農民や消費者の募金で設立され、今年で20周年を迎えた。昨年11月より、検査機器の更新のために、3500万円を目標に募金を始めている。今回の遺伝子組み換え大豆の検査には、これまでに集まった募金の一部で新たに購入した最新の機器が使われた。同センターによれば、1件の検査に10時間ほどかかるという。

 同センターは募金によって、遺伝子組み換え検査機器だけではなく、ネオニコチノイド系農薬やグリホサートなどの検査を強化する「液体クロマトグラフ質量分析計」1台の導入も計画している。今後、早期に輸入大豆の検査体性を立ち上げたいという。

 グリホサートに関しては、食品への残留検査はほとんど明らかになっていない。全く検査がされていないのか、検査されても公表されていないのか不明なのが実情だ。同センターの調査活動は、本来、国や自治体が行い、随時、検査結果が公開されてしかるべきものである。現状は、公的機関の手抜きを民間や市民が「代行」しているようなものだ。その点からも支援が必要といえる。同センターの募金の詳細は下記まで。

 ・農民連食品分析センター
【関連記事】
カテゴリー
よく読まれている記事