モンサントは7月6日、次世代の害虫抵抗性・除草剤耐性の遺伝子組み換え綿(Bollgard II Roundup Ready Flex)の商業栽培にかかる申請を取り下げたことが分かった、とロイターが報じた。インド政府は、遺伝子組み換え綿の種子のロイヤリティに上限を設けるなどの種子規制を導入しようとしている。モンサントの申請取下げは、露骨な「脅し」にもみえる。
環境省は6月、2015年度の廃棄食品のうちロスとなる量が年間302万トンとの推計値を公表した。全国の自治体を対象に、今年3月に実施した家庭から出る食品廃棄に関するアンケート調査の回答を元にして推計値を算出したもの。
欧州農薬行動ネットワーク(PAN Europe)の声明によれば、イタリア保健省はこのほど、グリホサートに対する使用規制を発表した。公園や市街地、学校、医療施設などにおけるグリホサートの使用を禁止し、あわせて農業における収穫前の散布(乾燥化)も禁止したという。欧州農薬行動ネットワークは8月23日、イタリア保健省の決定を歓迎するとの声明を出した。
シンガポール環境庁は今年10月より半年間、シンガポールの3か所で、デング熱対策として、ボルバキア・バクテリアに感染したオスのネッタイシマカ数千匹を試験的に放飼すると発表した。デング熱対策としてブラジルなどでは、オキシテック社の遺伝子組み換え(GM)蚊が放飼されているが、シンガポールは賢明にも、GM蚊を選ばなかった。
米国食品医薬品局(FDA)は8月5日、オキシテック社の遺伝子組み換え蚊の放飼による環境への影響はないとする環境影響評価を公表した。これによりフロリダ州キーズで計画されている、デング熱対策の遺伝子組み換え蚊の試験的な放飼は一歩進んだと報じられている。しかし、11月8日の大統領選挙に合わせて実施される住民投票で、この遺伝子組み換え蚊の放飼に賛成が得られるか注目されている。キーズで放飼の反対運動を続けてきたフロリダ・キーズ環境連合のバリー・レイ代表は、「地元民は、遺伝子組み換え蚊の放飼を望んではいない。投票結果に従うべきだ」としている。
昨年5月、モンサントがシンジェンタの買収に乗り出して以来、遺伝子組み換えを含む種子や農薬業界の買収・合併による再編が進んでいるかに見える。昨年12月にはデュポンとダウは合併で合意。シンジェンタが中国化工集団公司(ChemChina)による買収で合意したのが今年2月。バイエルは今年5月、シンジェンタ買収に失敗したモンサントの買収を仕掛けた。この買収が成功した場合、種子と農薬の世界的なシェアは、どちらも約3割近くの巨大企業となる。どの組み合わせでも寡占化の進行が懸念されている。
ウクライナが2017年秋から、ホエイ、粉ミルク、チーズ、バターなどの乳製品を日本へ輸出する見込み、と8月22日のスプートニク(日本語版)が報じた。スプートニクによれば、ウクライナ輸出センターが、そのフェイスブックのページで述べたものというが、この報道の真偽や詳細は不明だ。
韓国の食品衛生法改悪 野党議員が対抗提案
韓国のソウル市が昨年9月より実施してきた「GMOゼロ売場」の看板が、食品衛生法の改正で表示違反となる見通しになり、ソウル市当局も中止せざるを得ないと判断していると、8月19日付のハンギョレ(日本語版)が伝えている。韓国政府の食品表示を所管する食品医薬品安全処が4月に公表した改正案で、韓国産農産物に「非GMO」表示ができなくなるためだという。
2005年以来、遺伝子組み換え作物(GM)栽培を一時的に禁止しているスイスは、インドにおけるバイオテクノロジー開発の援助に約5億円を拠出している。その資金が、キマメとキャッサバの害虫抵抗性GM品種開発にも使われているとスイス・インフォが報じている。援助資金の一部が、モンサントが26%の資本参加しているマヒコ社に流れているという。
2005年以来、遺伝子組み換え作物の商業栽培を禁止してきたスイスはこのほど、2021年までの5年延長を政府が決定した。この決定には、議会の承認が必要だという。
英国の研究チームは8月16日、1994年に始まったネオニコ系農薬の使用が、野生のミツバチ類の長期的な個体数減少と関連しているとする研究結果をネイチャーに発表した。最大30%の減少をもたらしたとしている。ネオニコ系農薬の使用と野生のミツバチの減少を関連付けた最初の研究結果だとしている。
ベネズエラ国民議会は昨年12月、食料主権を強化し遺伝子組み換え種子の輸入と国内生産や研究を禁止する種苗法を可決した。マドゥロ大統領も署名したが、その施行は難しいとみられていた。昨年12月の総選挙で多数を握った野党の民主統一会議や右翼勢力は、この種苗法を「反科学的」だと非難を強め、廃止をうかがっているという。
抗生物質を使用しない鶏肉への転換に取り組んでいた米国マクドナルドは8月1日、予定を1年近く前倒して達成したと発表した。また、いくつかのメニューで人工甘味料、合成香料、合成保存料を排除したとしている。米国消費者の健康志向に配慮した試みという。北米限定とはいえ、ジャンクフードが大きく変わろうとしている。
アフリカで遺伝子組み換え(GM)作物が大規模に栽培されているのは、南アフリカとスーダン、ブルキナファソの3カ国。中でもGMトウモロコシは、南アフリカでしか商業栽培されていない。南アフリカ以外でのGMトウモロコシの導入も進んでいない。「停滞状況」の中、デュポン・パイオニアは米国国際開発庁(USAID)とともに現地政府と協定を結び、GM作物のような規制のない、トウモロコシのハイブリッド品種の導入プログラムを進めている。
米国農務省海外農業局(FAS)によれば、飼料用トウモロコシの国内供給が難しくなったブラジルが、米国から遺伝子組み換え(GM)トウモロコシを輸入の見込みだという。ブラジルは世界第3位のトウモロコシ生産国であり、年間3500万トンを輸出(15年)する世界第2位の輸出国でもある。
95%が害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換え品種だといわれるインドの綿作は昨シーズン、干ばつと害虫で大きな被害を受けた。その反動が豆類への転作と、非GM品種の作付増加となって現れている。綿種子のシェア90%のモンサントは販売の減少で赤字転落の見込みだという。
中国は8月8日、政府のサイトで公表した文書で「新しい害虫抵抗性の綿とトウモロコシ、除草剤耐性の大豆の商業栽培の推進」を明らかにしたという。食用の遺伝子組み換え(GM)作物の商業栽培推進の立場をより鮮明にしたことになるが、「食の安全」に敏感になっているといわれる中国消費者の支持を得るのは難しいのではないか。
出典:農水省
毎年のようにジャガイモのソラニン中毒が報じられている。その多くが学校の菜園で栽培されたジャガイモを食べてのことという印象がある。今年7月21日、静岡県藤枝市の小学校では、理科の授業で育てたジャガイモをゆでて試食したところ、児童15人が不調を訴え、うち9人が医療機関を受診したことで明らかになった。
Steve Jaames on Flickr
理化学研究所(理研)などは7月26日、遺伝子組み換えによりソラニンなどのアルカロイドを作らず、萌芽を制御できるジャガイモの可能性を発見したと発表した。
理研などの発表によれば、ジャガイモの有毒物質であるソラニンなどの「ステロイドグリコアルカロイド(SGA)」の生合成に関わる2つの遺伝子を同定し、これらの遺伝子発現をRNA干渉という遺伝子サイレンシング技術により抑制することで、SGAの生成と萌芽を抑制できたとしている。
米国農務省動植物検疫局(APHIS)は8月5日、ワシントン州の小麦を検査した結果、未承認の遺伝子組み換え小麦は見つからなかったと発表した。APHISは7月29日、ワシントン州の農場で、モンサントの未承認の除草剤ラウンドアップ耐性遺伝子組み換え小麦MON71700の自生が確認されたと発表していた。
世界で初となる遺伝子組み換え動物になるアクアバウンティの遺伝子組み換えサケは、すでに米国とカナダで承認されている。米国では、消費者のGM離れが顕著になってきている。それでも同社は商業生産へ向けて生産能力アップを図っている。
厚労省はこのほど、米国ワシントン州でモンサントの未承認の遺伝子組み換え小麦の自生が見つかったことに関し、検査が実施可能となるまで、ワシントン州などで生産される食用小麦のウェスタン・ホワイトと、米国西海岸から輸出される飼料用小麦について買付と売渡を暫定的に停止したとQ&Aの形で公表した。
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増