GM小麦から撤退か?
モンサントは9月12日、資本提携していたオーストラリアの穀物種子大手インターグレインの全保有株式(26%)を売却したと発表した。モンサントは2010年、干ばつ耐性・耐病性の遺伝子組み換え小麦の共同開発を目的として、インターグレインへ20%の資本参加していた。モンサントの提携解消の決断は、「進行中のビジネス再編の一環」だとしている。モンサントは9月14日、バイエルの買収提案に合意した。
バイエルとモンサントは9月14日、バイエルによるモンサント買収で合意したと発表した。買収条件は、モンサントの全発行株式を、1株あたり128ドルで現金で購入するというもので、総額660億ドルとしている。この買収は、2017年内に完了する見込みだとしている。1年前、悪徳企業の代名詞「モンサント」が消えてなくなるとは、おそらく誰も考えもしなったことが現実味を帯びてきた。
米国のミネソタ大学などの研究グループはこのほど、ミツバチの女王蜂の産卵数は、コロニーが小さいほどネオニコ系農薬の影響を受けやすいという研究結果を発表した。この結果は、コロニーがまだ小さい春先の曝露を少なくすることが、ミツバチへの影響が小さくなることを示しているとしている。こうした研究は初めてだという。
米国と欧州の消費者団体で構成するトランスアトランティック消費者ダイアログ(TACD)は9月7日、ゲノム編集技術など、従来の遺伝子組み換え技術と異なる新たな育種技術(NBT)について、EUと米国に対して、遺伝子組み換え技術と同様に規制と表示を求める要請書を公表した。ゲノム編集などの新しい育種技術に対する消費者の懸念を考えれば、至極当然な要求といえる。
スウェーデン・ウメオ大学の研究者がゲノム編集技術で作出したキャベツを料理して食べたが、CRISPR-Cas9を使ったものとしては世界で初めて、と発表した。このキャベツは、ウメオ大学で開発したのではなく、外部の研究者が提供した種子をウメオ大学で栽培したとしている。
バイエルのモンサント買収は最終局面
バイエルによるモンサント買収は最終局面を迎えている、とブルームバーグが9月9日報じた。関係筋の話として、交渉は継続しているが、来週、両社の役員会が予定されているという。昨年来、ダウとデュポンの合併、中国化工によるシンジェンタの買収、バイエルによるモンサントの買収と、農薬・種子業界が「再編」に動いている。まだ先行きは不透明だが、悪徳農薬・種子企業の代名詞「モンサント」の社名が消え去る可能性が大きくなってきた。
閉鎖を求め反対運動
地域の拠点として開発が進む韓国全羅北道完州郡では、韓国農村振興庁の遺伝子組み換え(GM)作物の屋外試験栽培場が、地域住民に知らされないまま設置され問題となっている。すでにGMリンゴやGMイネの試験栽培が始まっている。この一帯は親環境農業(有機農業、環境保全型農業)地域で、農民は設置に反対している。ハンギョレが報じている。
農水省は9月1日、7月末より停止していた一部米国産小麦の輸入を再開、とロイターが報じた。米国ワシントン州で7月29日、モンサントの未承認の除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)小麦が見つかり、ワシントン州などで生産される食用小麦のウェスタン・ホワイトと、米国西海岸から輸出される飼料用小麦について買付と売渡を一時的に停止していた。厳重に管理され、完全に廃棄されたはずのGM小麦自生の原因が分からないまま、輸入が再開される。
米国ミネソタ州デイトン知事は、ネオニコチノイド農薬の使用に際し、農民が差し迫った収穫減少の脅威を確認しなければならないとする行政命令を出した、と8月26日のロイターが報じた。詳細は未定だとしているが、米国におけるこれまでで最も幅広い規制だという。
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増