西ヨーロッパで個体数が減少し絶滅が危惧されているヨーロッパ・ハムスター(クロハラハムスター)を用いた研究で、農業の単一栽培(モノカルチャー)そのものが野生動物減少の原因だとする研究が発表された。
ストラスブール大学(フランス)の研究チームは、主にトウモロコシをエサとした雌ハムスターが仔を生きたまま食べてしまうことが生じ、原因はビタミンB3とトリプトファンの欠乏だったとする論文を英国王立協会紀要に発表した。アマゾンの熱帯雨林地域などで行われているような大規模単一栽培を目的とした森林伐採や、環境変化、使用される農薬などが野生生物減少の原因とされてきたが、研究チームは、単一栽培そのものに問題があるとしている。単一栽培の農地では、野生動物がのえさ限定されることによリ個体数を減少させ、生物多様性に悪影響を与えていると警告している。
研究によれば、主にトウモロコシをエサとしたグループで雌が仔を食べてしまい、離乳まで育ったのは5%だった。一方、小麦を主体のエサを与えた対照グループではそうした仔食いは起きず、8割が離乳したとしている。原因はビタミンB3とトリプトファンの欠乏によるもので、ビタミンB3を添加したトウモロコシ主体のエサでは起きなかったとしている。
研究チームは、大規模モノカルチャーの農地に生育する野生動物が、多様なエサを採ることができなくなり、生物多様性減少の原因の一つとなっているとしている。これまでは、野生生物減少の原因として農薬などがあげられていたが、大規模単一栽培そのものが野生動物減少させているとして、具体的な行動が必要だと警告している。
このハムスターの実験で起きたようなトウモロコシ主体の食事による健康障害は、ヒトのナイアシン欠乏症として知られている症状と同じだという。メキシコのトルティーヤの調理法のように、適切な調理をすれば避けられるという。
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