ネオニコ系農薬の個人使用禁止
米国カリフォルニア州議会上院に、ミツバチ保護を目的として、農家以外のネオニコ系農薬の使用を禁止する法案が上程されている。依然として、毎年、数十%のミツバチの巣が崩壊している米国では、ネオニコチノイド系農薬への強い懸念が背景にある。2015年から16年にかけて、全米で44%のミツバチの巣が失われたと報告されている。その原因の一つはネオニコチノイド系農薬だとされている。
法案では、対象となるネオニコ系農薬は、イミダクロプリド、ニアチジン、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサムを含む、全てのネオニコチノイド類として、担当部門が具体的に指定するとなっている。
法案は大きく二つに分かれていて、一つには、2018年7月1日以降、小売店で販売される、種子コーティングを含むネオニコチノイド系農薬で処理された種子と植物に、「カリフォルニア州安全警告:ミツバチに危害を与える可能性がある」と明確な書体で表示しなくてはならないというもの。
もう一つは、2019年1月1日までに、ネオニコチノイド系農薬で処理された種子と植物の非営利での使用を禁止するというもの。一般市民の家庭で、庭にネオニコチノイド系農薬を使った種を播いたり植えたりすることができなくなる。ペット治療薬、室内害虫駆除用、しらみ駆除剤、獣医が販売又は処方した場合は除外されるとしている。
・California Legislative Information, 2017-2-17 ・Center for Food Safety, 2017-3-3 ・Bee Informed Partnership, 2016-5-10米国ではすでに、この法案と類似の州法がメリーランド州で成立していて、18年1月1日以降、全てのネオニコ系農薬の販売と農家などを除く個人使用が禁止されるという。
・メリーランド州 ・Beyond Pesticide, 2016-4-11日本とは異なり、米国では、こうした一般市民の使用を禁止したり、自治体での使用を禁止する州法や条例がいくつか成立している。また、業界を主導するようなホームセンター、あるいは一部の家庭用農薬メーカーがネオニコチノイド系農薬の販売中止を明らかにしている。昨年12月、米国小売大手のコストコの脱ネオニコの方針が明らかになっている。
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