最終更新日:2017年3月25日
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2017.03.25 No.782
■EU:安易なネオニコ系農薬の緊急使用
 影には農薬企業

 欧州の環境保護団体Beelifeや農薬行動ネットワーク・欧州(PAN Europe)などは3月20日、EUがネオニコ系農薬3製剤(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)とフィプロニルを一時禁止にして以降、これらの農薬について、EU規則に基づく禁止・制限農薬の緊急使用の申請が農薬・種子企業ベースで行われていたとするレポートを公表した。加盟国がEU委員会に提出した文書を分析した結果だという。

 EUの農薬の緊急使用は、2009年に制定されたEU規則 1107/2009の第53条に基づいている。EUでは、禁止農薬を使う以外に代替手段のない場合、その理由とともに申請し、承認されれば、禁止農薬を例外的に使用できるという。レポートは、EU委員会が緊急使用制度の安易な運用をやめ、最小限にとどめるような努力を求めている。

 レポートによれば、2013年から16年にかけて1100件以上の緊急使用が承認されているという。そのうち少なくとも62件が、2013年に一時禁止となったネオニコ系3製剤(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)とフィプロニルであり、13カ国が緊急使用を承認していたという。ルーマニアの20件が最も多かったとしている。

 この緊急使用のほとんどのケースで「危険」や「脅威」が存在するとの情報が示されないまま承認されているとしている。緊急使用が、安易に運用されていると批判している。

 また、この緊急使用が農民単独による申請はわずか8%だったという。一方、農薬・種子企業が単独で申請したケースは44%、農民とともに申請したケースが42%だったという。緊急使用の申請の86%が農薬・種子企業が関与していたとしている。

 ● 緊急使用の申請
申請主体 比率
農薬・種子企業単独 44%
農民と農薬・種子企業 42%
自治体等 6%
農民単独 8%
 『BEE EMERGENCY CALL』より作成
 ・Beelife ほか, 2017-3  ・Beelife, 2017-3-20  ・Politico, 2017-3-22  ・EU規則, 2009
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