欧米の消費者の間には除草剤グリホサートへの懸念が高まっているが、カナダ食品検査庁(CFIA)は3月11日、2015年から16年にかけて実施した食品の残留グリホサート検査結果を発表した。
カナダ産と輸入の食品、約3200のサンプルの29.7%からグリホサートを検出したという。また1.3%は、カナダの残留基準値を超えていたという。グリホサートが残留する幼児用食品はサンプルの3割を超えたとしている。エンドウやヒヨコマメなどの豆類ではその47%で検出された。CFIAの発表では、今回のサンプルの穀類は大麦とソバ、キノアであり、小麦は含まれてない模様。カナダでは、穀類や豆類に収穫前の「乾燥目的」の除草剤散布が認められていて、残留しやすくなっている。
この発表では、まとめの数値しか公表されていない。ことに、消費者が最も欲しい残基準値を超えた製品についての情報は出ていない。
検体数 | グリホサート検出 | 残留基準値オーバー | |
---|---|---|---|
生鮮青果 | 482 | 8.9% | 0 |
穀類及び豆類 | 2497 | 33.6% | 1.6% |
幼児用食品 | 209 | 31.1% | 0 |
合 計 | 3188 | 29.7% | 1.3% |
品 目 | 残留基準値 | 日本の残留基準値 | |
---|---|---|---|
大麦 | 10 | 20 | (30) |
豆類 | 4 | 2 | ( 5) |
レンズマメ | 4 | - | |
エンドウ | 5 | 5 | |
大豆 | 20 | 20 | |
小麦 | 5 | 5 | (30) |
その他 | 0.1 |
2015年に国際がん研究機関が除草剤グリホサートの発がん性について「おそらく発がん性がある」と分類して以降、欧米の消費者の間にはグリホサートへの懸念が高まっている。米国では、民間の任意認証ではあるが食品のグリホサート・フリー認証が始まっている。また、EUでは1月から、グリホサートの禁止を求める市民発議の署名運動が始まり、1年間で100万筆を目標に進められている。すでに60万人を超えたとアナウンスされていて、発議に必要な要件はクリアしそうな状況となっている。
日本でも厚労省が、食品の残留農薬検査結果を公表している。最新のデータは、昨年公表された2012年のもの。グリホサートは輸入農産物だけで検査されている。サンプル245件の53.5%に当たる131件から、0.01ppmから6.3ppmが検出されたとしている。件数のみで詳細は公開されていない。また、日本のグリホサートの残留基準値が高いためか、輸入食品の残留基準値を超えた違反事例はまったく出ていない。
・厚労省, 2016-8-15
厚労省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会では3月22日、さらに残留規制値を緩和する答申案が示されている。近く意見公募の上、実施に移されようとしている。
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