英国環境・食料・農村地域省は4月25日、全英農業者連盟(NFU)が申請したネオニコチノイド系農薬の緊急使用を却下した。全英農業者連盟は、ナタネの葉を食害するノミハムシの防除に必要だとして、クルーザーOSR(チアメトキサム)とバイエルクロップ サイエンスのモデスト(クロチアニジン)の限定的な使用を申請していた。環境・食料・農村地域省の農薬諮問委員会による緊急使用の必要がないとの勧告を同省が受け入れたもの。
全英農業者連盟は15年から3年連続で、この緊急使用の申請を行っているが、15年には認められたものの、昨年は却下された。
ネオニコチノイド農薬の禁止を求めキャンペーンを行ってきた大地の友(英国)は、この決定について「今週、ミツバチはほっと一息つける」と、同省の決定を歓迎する声明を出した。
大地の友のベル氏はメディアに対し、「禁止されたミツバチに有害な農薬を使おうというNFUの企てには問題があることが明らかになった。専門家のアドバイスに従い、大臣が申請を却下したことはよいことだ」「病害虫管理を助ける有益な昆虫だけではなく、送粉者を害することが分かっている製品を再び使わずに、作物を保護する効果的なミツバチにやさしい方法を見出すよう農民へのサポートが必要だ」と語ったという。
・Farming, 2017-4-25 ・Freinds of Earth, 2017-4-25全英農業者連盟が緊急使用を申請した2つのネオニコ系農薬のチアメトキサムとクロチアニジンは、もう一つのネオニコチノイド系農薬のイミダクロプリドとともに、2013年12月より一時的に使用が禁止されている。EU委員会は、これら3つの農薬について、ミツバチへのリスクの再検討を理由として禁止した。しかしEUの規則は、非常時に限定して加盟国が禁止規則の適用を制限できるという抜け穴があり、恣意的な運用がなされていると報告されてもいる。
EU委員会は3月、これら3つの農薬(チアメトキサム、クロチアニジン、イミダクロプリド)の全面禁止の方針を決めたと報じられている。
【関連記事】- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増