ベルギー農業相は4月27日、グリホサート系農薬を農業用に限定するとの方針を明らかにしたという。2017年末までに農業用でない用途の販売を禁止し、私的な庭での使用も禁止するというもの。国際農薬行動ネットワーク・欧州など3団体は28日、この方針を歓迎する声明を出した。この方針が予防原則に則ってなされたとして評価している。
ベルギー連邦を構成する3つの地域のうち2つの地域(ワロン地域、ブリュッセル首都圏)では、グリホサート系農薬の私的な使用が禁止されているものの、販売まで禁止に至っていないという。今回の方針により、ベルギーでの私的使用の禁止を確実にするものとしている。
声明は、農薬のない世界へ向けた最初の良いステップと評価している。その上で、この方針をきっかけに、個人使用でのあらゆる有害な農薬の禁止とともに、農業分野でのグリホサートの削減につながるよう、病害虫管理の危険で古いやり方の転換に道を開くことを期待するともしている。また、店頭在庫を考慮した法的枠組みを早急に作るように要請している指摘している。
・PAN Europe, 2017-4-28EU委員会の専門機関である欧州化学機関は先ごろ、グリホサートの発がん性を否定する見解をまとめた。EU委員会はこの評価をテコに、グリホサートの再度の農薬登録を狙ったが、加盟国の特定多数の賛成を得られず、その登録は宙に浮いている。
こうした中、欧州議会の超党派の30名の議員は3月24日、EU委員会ユンカー委員長に対して、グリホサートの農薬登録をしないよう求める公開状を送っている。
・GM Watch, 2017-3-25グリホサートの農薬登録に関しては市民の動きも大きくなっている。70あまりのNGOなどの支援を受けて、EU委員会にグリホサートの禁止などを求める市民発議へ向けた署名集めが1月から始まっている。わずか3か月あまり。すでに72万人の署名が集まっている。
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