バイエルは除草剤とGM種子事業を売却へ
南アフリカ競争委員会はこのほど、バイエルの除草剤リバティ事業の売却などを条件に、バイエルのモンサント買収を承認したと発表した。バイエルとモンサントは昨年9月、バイエルによる買収で合意した。この買収は、関係国30か国の競争規制機関の承認審査をクリアする必要がある。
南アではワタの90%が遺伝子組み換え品種であり、買収によりワタ種子の独占状況が生まれることから、南ア競争委員会はバイエル・クロップサイエンスの南アフリカにおけるワタ事業の売却と、リバティ・リンク(除草剤グルホシネート耐性)事業と関連する除草剤リバティ事業の世界規模での売却を求めた。あわせて3年間は種子とネオニコチノイド系殺虫剤のポンチョ(クロチアニジン)を25%割引で販売しなければならないとした。売却に伴う20名の雇用確保も条件とした。
小農民の状況は代わらない ACBは批判
南ア競争委員会の発表を受けてアフリカ・バイオセイフティ・センター(ACB)は、南ア競争委員会の条件が企業にとって長期的には最小限のダメージに留まっているとコメントした。南ア競争委員会の条件は、南アの状況を支配的な技術的枠組みに閉じ込めたままにし、遺伝子組み換えの生産と流通における競争を確保しようとしたにすぎない。小規模な農民にとって、資材価格は高く、種子や農薬の選択肢は少ない、とも批判している。
South Africa’s Competition Commission gives conditional approval for Bayer-Monsanto merger
バイエルは除草剤と除草剤耐性GM種子事業売却へ
ロイターによれば、この南ア競争委員会の条件付承認を受けてバイエルは8日、除草剤リバティとリバティ・リンク遺伝子組み換え種子事業の売却で合意したと発表した。リバティは、グリホサートと並ぶ除草剤グルホシネートを主成分とするバイエルの除草剤ブランドであり、リバティ・リンクは、バイエルの開発したグルホシネート耐性遺伝子組み換え作物のブランドである。
売却を予定している資産の総額は25億ドルで、今後売却先を探すことになる模様。バイエルの除草剤グルホシネート耐性遺伝子組み換え作物は、主に大豆、ワタ、ナタネで、モンサントのラウンドアップ耐性遺伝子組み換え作物の代替品となる。
・Reuters, 2017-5-8【関連記事】
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