5月30日に予定されている食品安全委員会で、シンプロット社の加熱時のアクリルアミド低減がうたい文句の遺伝子組み換えジャガイモに「安全」の評価が決まりそうだ。3月に「ヒトの健康を損なうおそれはない」として意見公募が行われていた。
・食品安全委員会, 2017-5-25これまで、食品安全委員会で「安全」と評価されれば、厚労省は食品として承認している。この遺伝子組み換えジャガイモも近く承認されると思われる。この遺伝子組み換えジャガイモを原料とした製品には、当然、表示義務が生ずる。しかし、外食産業でフライドポテトのような形で供されたような場合では、表示は義務ではなく、知らずに食べてしまう可能性がある。
・消費者庁この遺伝子組み換えジャガイモは2014年11月、米国農務省が栽培を承認し、15年3月には食品医薬品局が食品として承認している。カナダでも16年3月に承認されている。
米国の食品安全センターは、「影響を検討せず、決定を急ぎすぎ た」と批判している。遺伝子発現を抑制するRNA干渉技術を使った遺伝子サイレンシングの潜在的な危険性がはっきりしていないという。
シンプロット社は、米国マクドナルドのジャガイモ納入業者でもあるが、当のマクドナルドは遺伝子組み換えジャガイモを使わないとの方針を明らかにしている。
米国ではすでに、この遺伝子組み換えジャガイモが市販され、広く流通しているとみられているという。2015年には400エーカー分を米国南東部の10州で売り切り、16年は2千エーカーに拡大するとしていた。国連食糧農業機関(FAO)の統計によれば、米国のジャガイモはヘクタールあたり約47トン。すでに数万トンの遺伝子組換えジャガイモが生産され、流通していると思われる。
日本へ承認を申請したシンプロット社は、日本市場を視野に入れていることは間違いないだろう。早ければ年内にも「輸入」のニュースが流れるかもしれない。
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