グリーンピースは6月23日、グリーンピース・オランダが入手した日本とEUとの経済連携協定(日欧EPA)関連の文書を公開したと発表した。公開された文書は、2016年後半から2017年初頭にかけてのもので205ページに及ぶ。
この文書を分析したグリーンピースは、これまでの米国やカナダとの貿易協定交渉に関しEU委員会や加盟各国政府が約束した、透明性の向上と環境基準を守っていないとした上で、頓挫した米国との協定よりもひどいものと酷評している。日本との交渉が妥結した場合、その貿易規模は、先に発効したEUカナダ包括的経済貿易協定(CETA)の2倍の相当するEU最大の貿易協定になる可能性があり、EUの環境保護にとって重大な懸念をとなると警告している。
グリーンピースはメディア向けの資料で、木材取引における日本の違法取引を増大させる可能性、なんら言及されていない捕鯨問題、CETAより低水準の投資問題などについて、それぞれの問題点を挙げて批判している。その上で、協定は予防原則の立場に立っていないと指摘している。
・Greenpeace, 2017-6-23 ・Greenpeace, 2017-6-23公開された文書は TTIP-leaks.org のサイトから、PDFファイルの閲覧、ダウンロードが可能である。15分野について別々のファイルにまとめられている。
公開された文書のうち、2017年1月20日付けの衛生植物検疫(SPS)関連文書の中に、興味深い検討課題が挙げれている。EUは、食品添加物、酵素、調味料の承認手続に関し、リスクアセスメント機関(日本では食品安全委員会)における審査手続きを9ヶ月以内に完了させるとともに、それまでの9ヶ月以内に関連する規制条文の改正手続きを完了するよう求めている。この要求に対し日本は、この条項の削除を求めているとしている。SPS関連文書には、遺伝子組み換えや表示に関する文言はない。
この交渉文書のリークについて、6月24日付けのサンケイビズの記事(共同)によれば、この交渉文書を閲覧した南ドイツ新聞が遺伝子組み換え食品規制など「消費者への配慮が不十分」と指摘しているという。
・共同・サンケイビズ, 207-6-24日本外務省のサイトでは、交渉中とはいえ、有意義な情報はほとんどない。
・外務省- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増