最終更新日:2017年6月27日
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2017.06.27 No.827
■酢が作物の耐干ばつ性を強化 遺伝子組み換えは使わず

 理学研究所などの研究チームはこのほど、酢酸を与えることで、遺伝子組み換え技術を使うことなくシロイヌナズナの耐干ばつ性が強化されることを発見し、ネーチャー・プランツに発表した。この効果はシロイヌナズナのほかにも 、菜種、トウモロコシ、米、小麦で確認したとしている。

 朝日新聞などによれば、シロイヌナズナに、水で希釈した酢酸液を9日間与えた後、約2週間水を与えず放置。その後3日間水を与えたら青い葉を茂らせたという。研究チームは、さまざまな酸溶液を与えて見たが、酢酸だけが強い乾燥耐性を示したとしている。

 研究チームはまた、「この研究成果は、遺伝子組み換え植物に頼らず、植物に酢酸を与えるだけで、急激な乾燥や干ばつに対処できる簡便・安価な農業的手法として役立つことが期待されます」としている。

 有機農業の現場では、これまでも酢はよく使われてきた資材だ。酢と焼酎で作るストチュウもその一つ。酢は、特定農薬の一つとして、種子の殺菌剤としても認められている。今回発見された効果については、具体的な方法の開発や、適用作物の拡大が明らかになることを期待したい。

 遺伝子組み換え技術による小麦やトウモロコシなどの干ばつ耐性品種の開発が盛んに行われている。すでにオーストラリアではその試験栽培もおこなわれていると報じられている。今回発見された効果は、酢を与えるだけで干ばつ耐性が強化されるという、遺伝子組み換えのような「ハイテク」とは真逆の、優れて「ローテク」な技術であり、環境影響も大きいとは思われず、コストパフォーマンスのよい技術と言えるだろう。

 ・Nature Plants, 2017-6-26  ・理化学研究所, 2017-6-27  ・朝日, 2017-6-27  ・農水省, 2014-3-28
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