米国カリフォルニア州控訴裁判所は9月19日、三井アグロのジノテフランに関する米国・カリフォルニア州農薬規制局の使用承認取り消しを求めた控訴審で、原告の申し立てを認める決定を下した。原告団体は、決定を歓迎する共同声明を発表した。
2014年、国際農薬行動ネットワーク・北米やアースジャスティス、食品安全センターなどの環境団体が、ミツバチなどに害があることがわかっていて使用を承認したのは違法として、州農薬規制局と農薬メーカーのヴァーレント社を相手取って提訴していたもの。1審は訴えを棄却。この裁判で問題となったのは、三井アグロのジノテフランと、ジノテフランを70%含むヴァーレント社のベノム殺虫剤の二つ。
控訴審での決定を歓迎するとした食品安全センターなどの提訴団体の共同声明では、州農薬規制局は10年前、ネオニコチノイド系農薬がミツバチにダメージを与えていることを認め、2009年よりチェックを始める一方で、次々とネオニコチノイド系農薬の承認を重ねてきていたと非難した。
原告団体の一つである農薬行動ネットワークのポール・タワー氏は、「この判決は、カリフォルニア州と米国におけるミツバチの集団が直面している危機と、農民と食品システムに及ぼす影響を考慮すると歓迎すべきニュースだ。この2つの農薬の影響だけでなく、複数の農薬の毒性の組み合わせ効果を評価し、その使用方法を検討する必要があることを確認しなければならないと確認した裁判所を称賛する。これは、公衆衛生と環境、とりわけミツバチにとっての勝利だ」と、決定を歓迎している。
「(ネオニコ系農薬の使用を)ストップしない限り、受粉者の生存だけでなく、生態系全体の運命を脅かす」と、食品安全センターのレベッカ・スぺクター氏は指摘している。
・Judicial Council of California, 2017-9-19 ・Cnter for Food Safty, 2017-9-20(参考)
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