米国では一部の州などでネオニコチノイド系農薬の使用を禁止する州法が制定されるなど、徐々に規制されるようになってきているが、このほど連邦議会にネオニコチノイド系農薬規制法案が提案された。米国下院のブルメナウアー議員(民主党)ら25人の議員は6月23日、「2017年送粉者保護法(H.R.3040)」を共同提案し、下院農業委員会に付託された。
農水省は7月27日、シンプロットの遺伝子組み換えジャガイモ(SPS−00E12−8) と、モンサントの除草剤(ジカンバ、グルホシネート)耐性トウモロコシMON87419系統の2品種について飼料として承認した。GM飼料として承認されたGMジャガイモは初めて。これまでに飼料として承認された遺伝子組み換え作物は87品種となる。
つい先ごろ酢が作物の耐干ばつ性を強化すると発表したばかりの理研は7月3日、横浜市大との共同研究でエタノールが植物の耐塩性を高めることを発見したと発表した。この効果により作物の耐塩性を強化し、収量増につながることが期待されるとしている。酢とかエタノールといった安価でありふれた資材を使った「ローテク」が、遺伝子組み換えのような「ハイテク」を超えている。
米国農務省動植物検疫局(APHIS)は7月18日、米国アラバマ州で非定型BSE牛が1頭見つかったと発表した。この牛は11歳の肉用雌牛で、と殺前に見つかり処分されたとしている。感染ルートなどは調査中。米国で見つかったBSE牛としては2012年以来の5例目で、非定型BSE牛は4例目となる。
厚労省は7月20日、シンプロット社のアクリルアミド低減遺伝子組み換えジャガイモを安全として承認した。これにより食品として承認された遺伝子組み換え作物は312品種となる。この遺伝子組み換えジャガイモは、生物多様性での申請がないところから、冷凍品などの形で輸入され、フライドポテトや惣菜に加工され、主に表示が不要の外食産業で使われるのではないか。
消費者庁による遺伝子組み換え食品表示検討会の第3回会合が7月19日開かれ、事業者3社2団体からのヒアリングが行われた。温度差はあるものの、いずれも義務表示の拡大には、反対ないし消極的な意見を述べた。具体的なデータを示しての意見ではなく、言い訳としか聞こえない主張に終始し、ゼロ回答に終わった。消費者が「何を食べているのか」を知る権利は重要なことではないという姿勢が露骨に出ていた。委員からの質問も精彩を欠いた。
アフリカの数少ない遺伝子組み換え(GM)作物栽培国であったブルキナファソは2016年、モンサントの害虫抵抗性GMワタの栽培をやめ、従来の品種に戻した。こうした国はまだまだ数少ないが、EU加盟国のルーマニアもそうした国の一つだ。EU加盟直前のルーマニアは2006年、それまで数十万ヘクタールで栽培していた遺伝子組み換え(GM)大豆の生産を止めた。『ユーターン』は、このルーマニアのGM大豆からGMでない大豆への転換=「ユーターン」を、中止賛成派と反対派の双方のインタビューを交え描き出している。制作は、遺伝子組み換え作物栽培に反対してきたルーマニアの環境NGOのエージェント・グリーン。
米の検査規格の見直しを求める会はこのほど、ネオニコ系農薬と斑点米の関係を分かりやすく解説した『知っていますか? 斑点米と農薬とミツバチ大量死』をPDF版で全文無料公開した。2015年に発刊した冊子の在庫がなくなり、一方、内容も古くなっていないので公開することにしたという。同会では、自由に使って欲しいとしている。同会のサイトからダウンロードできる。
厚労省は7月13日、ネオニコチノイド系農薬の一つジノテフランの残留基準値の緩和案を、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会で明らかにした。今回の残留基準値改訂は、小豆、サトウキビ、わけぎ、オリーブへの新たな農薬登録申請により見直しが行われたもの。
農薬メーカーの住友化学と農機のクボタは7月11日、コメの低コスト生産について共同実証研究を始めたと発表した。住友化学が同社の「コシヒカリつくばSD1号」の種子を提供し、クボタが鉄コーティング機と直播機で直播。住友化学の農薬と肥料を使って栽培し、収穫したコメは住友化学が販売するというもの。クボタが運営のクボタファームで実施しデータを蓄積するとしている。両社は、将来的にはコメの輸出とともに、自動機や農業資材を含めた栽培体系を農家に提案し普及につなげるとしている。種子供給から販売までを一貫して押さえる、JAに替わる企業による農業の「囲い込み」が始まっているといえるだろう。
ハンガリー科学アカデミーなどの研究チームは7月5日、グリホサートに曝されたヒキガエルのオタマジャクシの体内のブファジエノライドの含有量が増加する、という研究結果を英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)に発表した。ブファジエノライドは、ジギタリスなどに似た強心作用があり、捕食者に対する防御要素だという。
ベルギー・フランデレン地域政府は7月1日、グリホサートの個人使用の禁止法を承認したという。施行期日ははっきりしていない。フランデレン地域政府環境相は今年初め、予防原則に立ってグリホサートの個人使用禁止を提案し、フランデレン地域議会は6月28日、禁止法案を可決していた。
日本消費者連盟(日消連)と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは6月30日、消費者庁・岡村長官と遺伝子組換え表示制度に関する検討会・湯川座長に対して、全ての食品に遺伝子組み換え表示を求める要請書を送った。消費者庁の遺伝子組み換え食品表示の見直し検討会は、この4月に始まった。これまでの2回の会合での議論からは、事業者側を慮ったような発言が多く、表示規制の拡大はかなり限定的なものになりそうな展開となっている。
米国の科学誌サイエンスは6月29日、ネオニコチノイド系農薬がミツバチやマルハナバチに有害であることを明らかにする2つの研究結果を掲載した。その一つは、バイエルクロップサイエンスなどが資金提供したもので、英国、ドイツ、ハンガリーで行われた大規模な屋外調査の結果である。これら二つの研究結果は、折しも、イミダクロプリドなど3種類のネオニコチノイド系農薬の使用禁止を決めようとしているといわれるEUの決定にも影響を与える可能性がある。
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
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