9月27日に開かれた第5回遺伝子組み換え食品表示検討会は、一部委員から「現行制度の維持するだけで検討会の意味がない」という発言が出るほどに、拡大反対派の「科学的検証性」が幅を利かせ、義務表示対象の拡大もなく、混入率も5%据え置き、表示は上位3位までという現行制度を維持するだけの終わることがはっきりした。湯川座長の取りまとめに、終始事業者サイドに立って発言してきた武石委員(食品産業センター企画調査部長)は、笑みを浮かべうなずく姿が象徴的だった。残念ながら、「消費者の知る権利」「消費者の選ぶ権利」にとっては、大きな失望しかない検討会の行く末がはっきりしたといえる。
農水省は9月22日、農研機構が開発した遺伝子組み換えカイコについてカルタヘナ法による一般使用を承認した。この遺伝子組み換えカイコは、オワンクラゲの遺伝子を組み込み、作り出す生糸が緑色の蛍光色を発色するというもの。遺伝子組み換え動物の一般使用の承認は日本で初めてとなる。これまでのように隔離された飼育場ではなく、条件付とはいえ一般の農家での養蚕が可能となる。これまでに隔離飼養場での試験飼養が6回行われていた。このカイコが、衰退した日本の養蚕にとってカンフル剤となるのだろうか。
EUで登録延長が問題化している除草剤のグリホサートについて、フランス政府は2022年に禁止することを決めた。この方針を政府スポークスマンが語ったとAFPが報じた。段階的に規制し、2022年に禁止するというもの。フランス政府は、グリホサートに代わる除草剤開発予算として5年間で50億ユーロの予算を確保する方針も明らかにしたという。
Nuno Barreto / Flickr
9月24日に実施されたスイスの国民投票の結果、憲法に食料安全保障を盛り込むことが79%の圧倒的な賛成で可決された。スイス26州全てで賛成が反対を上回った。憲法に食料安全保障が明記されるのは“主要国”では初だという。新たに憲法に盛り込まれる項目は、モノカルチャーや多国籍企業による自由主義的な食料支配とは一線を画したもので、食料廃棄について消費者の責任を明記した点も画期的だ。
太平洋に点在するマーシャル諸島は冷戦期に米国の実験場となり、67回の核実験が行われた。1954年3月、マーシャル諸島北西部にあるビキニ環礁で米国の水爆実験を行われた。この水爆実験は「第五福竜丸事件」としても知られているが、広島の1千倍に相当する15メガトンの「ブラボー」の死の灰は、ロンゲラップ島の人々に降りかかった。公式には「偶然に風向きが変化」したということにされてているが、その結果、風下になったロンゲラップ島の人々の健康を害し、多くの人ががんなどで亡くなっている。
『ニュークリア・サベージ 死の灰をあびせられて』は、若いころにロンゲラップの人びとの救援活動に従事したホロヴィッツ監督の回想と、ロンゲラップの人びとの証言、被害を伝えるニュース映像、植民地化されたマーシャル諸島の歴史を軸に、戦うことをやめないマーシャル諸島の人びとを描いている。
国際的な独立科学者グループの浸透性殺虫剤タスクフォース(TFSP)は9月19日、ネオニコチノイド系などの浸透性殺虫剤が世界的に生態系に深刻な影響を与えていると警告する『浸透性殺虫剤の生物多様性と生態系への影響に関する世界的な統合評価書』第2版の概要を明らかにした。論文は近く専門誌『Environmental Science and Pollution Research』に掲載されるという。
米国カリフォルニア州控訴裁判所は9月19日、三井アグロのジノテフランに関する米国・カリフォルニア州農薬規制局の使用承認取り消しを求めた控訴審で、原告の申し立てを認める決定を下した。原告団体は、決定を歓迎する共同声明を発表した。
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