最終更新日:2018年3月●日
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2018.03.01 No.892
■ネオニコチノイド系農薬はミツバチに高いリスク EFSAの再評価
Bourdon_France_.jpg / Flickr
マルハナバチ / Thomas Bresson / Flickr

 欧州食品安全機関(EFSA)は2月28日、2013年12月以来、一時使用禁止措置がとられているイミダクロプリドとクロチアニジン、チアメトキサムの3種類のネオニコチノイド系農薬について、受粉を媒介するハチ類に高いリスクがあるとする再評価結果を発表した。英国が使用禁止への賛成を明らかにしているが、ガーディアンは(電子版)は屋外での使用禁止は十分にありうると報じている。この25日には浸透性殺虫剤タスクフォースが、ネオニコチノイド系農薬の実行可能な代替策として、総合的病害虫管理(IPM)の原則と手法を用いることが、経済的にも効果的であるとする研究を発表したばかりだ。

 EFSAは、情報提供のあった1500余りの論文を精査し、環境を汚染している推定値はミツバチにとって安全と考えられるレベルより高く、高リスクであると結論。ネオニコチノイド系農薬の屋外での使用は野生のミツバチ類を含むハチ類にとってリスクになるとしている。この再評価はEU加盟国の専門家との摺り合わせを終えているとしている。

 EFSAはまた、多くの場合、農薬が使用された作物で採餌するハチが、ネオニコチノイド農薬の有害なレベルに曝される可能性が高いことが示されたとし、使用された作物の花粉や蜜に農薬の残留物が含まれていることや、畑から吹き飛ばされた塵によって周辺の植物も汚染されている可能性があるとしている。さらに、ネオニコチノイド系農薬の土壌残留性についても言及している。

 ・EFSA, 2018-2-28  ・EFSA, 2018-2-28

 ネオニコチノイド系の土壌残留性に関し、英国生態水文学研究所はこの1月、2013年12月にEUがネオニコ系農薬を一時禁止としたにもかかわらず、2015年採蜜の英国産蜂蜜から禁止されたイミダクロプリドなどネオニコ系農薬が検出されたという研究結果を発表している。種子処理に使われたネオニコチノイド系農薬は、分解せず長期に土壌中に残留しているとしている。

 ・PLOS ONE, 2018-1-3  ・Centre for Ecology & Hydrology, 2018-1-4

 このEFSAの発表にガーディアン紙(電子版)は、ネオニコチノイド系農薬が全てのミツバチに対してリスクがあるという再評価により、屋外での全面的な使用禁止は十分にありそうだとしている。EU委員会は、イミダクロプリドなど3種類のネオニコチノイド系農薬の禁止について、加盟国による投票を3月22日に予定しているという。

 ・Guardian, 2018-2-28

 EFSAの再評価結果を受けて、ネオニコチノイド系農薬の使用禁止を求めてきた欧州のNGOは、EU委員会が提案している屋外での使用禁止ではなく、より厳しい全面的な禁止を求める声明を出している。

 グリーンピースはミツバチの個体数の破壊的な崩壊を防ぐ第一歩として、加盟国はEU委員会のネオニコチノイド系農薬禁止に賛成すべきだ、とする声明を発表した。グリーンピースはまた、屋外使用に限定されているEU委員会の2013年の一時禁止措置では不十分だとクギを刺している。

 国際農薬行動ネットワーク・欧州(PAN Europe)は、「ネオニコチノイドが主要な原因の一つであることに十分なエビデンスが示された。加盟国はネオニコチノイドを禁止するしか術はない」とする声明を発表した。

 大地の友・欧州(Friend of Earth)は、3種類のネオニコチノイド農薬のより厳しい禁止が緊急に必要であり、EU加盟国は3種類の農薬の全面的な屋外使用の禁止を支持すべきであるという声明を発表した。さらに、これらの有害な農薬の禁止は、農家が自然と対立するのではなく、調和するような農業政策の根本的な改革を伴うべきで、生態系農業(アグロエコロジー)への広範な転換が必要だとしている。

 ・Greenpeace EU, 2018-2-28  ・PAN Europe, 2018-2-28  ・FoE Europe, 2018-2-28
(参考)※随時更新
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