最終更新日:2018年4月27日
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2018.04.27 No.915
■EU委員会 3種類のネオニコ系農薬の屋外使用禁止を決定
Want-Pollination.jpg / Flickr
農薬業界ロビーのイベント前で抗議(ブリュッセル) / greensefa / Flickr

 EU委員会の植物・動物・食品・飼料常設委員会(SCOPAFF)は4月27日、かねてより懸案となっていた3種類のネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の屋外使用禁止を賛成多数で決めた。この日に向けて欧州の環境NGOや養蜂家、消費者は、加盟各国政府へ賛成するように求めるキャンペーンを展開してきた。Avazzによる禁止を求めるウェブ署名には500万人の署名が集まる程に注目を集めていた。このEU委員会の決定は、3種類のネオニコ系農薬について屋外での使用を禁止するという限定的なものではあるが、欧米を中心に広がるネオニコ系農薬禁止の流れを一層強くするものといえるだろう。この対極には、新たな登録を続け、残留基準値を緩和している日本がある。

 EU委員会は27日、「加盟国は、3種類の活性物質の屋外使用を完全に禁止するEU委員会の提案を支持した。EU委員会は、今後数週間で規制を採択する予定である」とツイッターで伝えた。ガーディアン紙(電子版)によれば、この規制は2018年中に施行されるという。

 グリーンピースなどによれば、常任委員会での投票では、加盟28か国のうち、フランス、ドイツ、英国など16カ国、人口比で76%が賛成した。反対はハンガリーなど4カ国で、ポーランドなど8カ国が棄権したという。賛成した国にはEUの4大国は全てに加え、オランダやスペインも含まれている。

禁止に賛成:16か国  76.1%
フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、英国、オランダ、 オーストリア、スウェーデン、ギリシャ、ポルトガル、 アイルランド、スロベニア、エストニア、キプロス、 ルクセンブルグ、マルタ
禁止に反対:4か国
チェコ、デンマーク、ハンガリー、ルーマニア
棄権:8か国
ポーランド、ベルギー、スロバキア、フィンランド ブルガリア、クロアチア、ラトビア、リトアニア
 ・European commision  ・Avaaz  ・Guardian, 2018-4-27

 EU委員会は2013年12月から、3種類のネオニコチノイド農薬の使用を一時的に禁止し、欧州食品安全機関(EFSA)で再評価を実施していたが、昨年3月、全面的な屋外使用の禁止を提案した。今年2月、欧州食品安全機関は、これらの農薬がミツバチや野生のハチに悪影響を与えるとする評価結果を公表した。今回の決定は、この再評価を受けたもの。

 こうした動きに前後して、英国は昨年11月、コーブ環境相が声明を発表してEU委員会の禁止提案への賛成を明らかにした。この英国の賛成が、ドイツやオランダに影響を与えたとする見方も出ている。

環境NGOなど さらなる禁止を求める

 今回の決定について、欧州の環境NGOや養蜂家団体は、相次いで歓迎する声明を発表している。しかし、歓迎に留まらず、さらに農薬削減へ向けた政策を進めるように求めている。

 欧州養蜂家の連携組織のBeeLife European Beekeeping Coordinationは、「BeeLifeとそのメンバーは、ミツバチ保護の改善に向けたこの画期的な出来事を賞賛する。今日の投票結果は、環境NGO、養蜂家、特にミツバチにとって重要な勝利である。加盟国は今日、花粉媒介者のためのより良い環境に向けて進むべき方向をはっきりさせた」と評価する声明を発表した。

 ・BeeLife European Beekeeping Coordination, 2018-4-27

 グリーンピースはこの決定に対して、「これはポリネーターと環境にとって素晴らしいニュースだ。しかし、これらの3種類のネオニコチノイドは氷山の一角にすぎない。他のネオニコチノイドも含めて、ハチや食料生産にとって危険なものがたくさんある。ハチに害を与えるすべての農薬を禁止し、最終的には農業で農薬を使わないようにすべきだ」とする声明を発表した。その上で、フランスのように全てのネオニコチノイド農薬の禁止や化学農薬の使用を劇的に減少させ、害虫防除の生態的な手法への移行などを求めた。

 ・Greenpeace, 2018-4-27

 国際農薬行動ネットワーク・英国(Pesticide Action Network UK:PAN UK)は、「3種類のハチに有毒なネオニコチノイド農薬の禁止を歓迎する。これらの農薬が有毒であると10年以上にわたって警告してきたが、EU域内で使用禁止になることは喜ばしい」とこの決定を歓迎する声明を発表した。声明で、理事のゴールソン教授(サセックス大学)は、「この決定までに長い時間がかかったのは残念。使用を継続した場合、ミツバチや他の野生昆虫の減少は、地球上のすべての生命に悲惨な結果をもたらすだろう。これらの農薬への規制が導入されたのは非常に重要なことだ」と述べている。

 ・PAN UK, 2018-4-27

 環境NGOの一つ、地球の友・欧州(Friends of the Earth Europe)は、「全ての野外作物をカバーしているこの包括的なネオニコチノイドの禁止は、ミツバチとより広範な環境にとって驚異的な勝利。欧州委員会は、ハチに優しい生息地を増やし、農民が農薬の使用を削減するのに役立つ政策を進展させることに焦点を当てる必要がある。すでに多くの農家は、ネオニコチノイドなしでうまく作物を栽培しているが、まだ多くの有害な農薬が使われている。農民は、欧州委員会や各国政府からのより多くの支援を必要としている」とする、投票に向けてのキャンペーンに携わったサンドラ・ベル氏の談話を発表した。

 ・Friends of the Earth Europe, 2018-4-27

 欧州議会内会派の一つ欧州緑グループ・欧州自由連盟(Greens/EFA)は、「ついにネオニコチノイドに対するこの強力な行動が承認された。広く普及しているネオニコチノイドを包括的に禁止することは、ハチの個体群の減少を逆転させるために欠くことのできないステップである。ハチやその他のポリネーターは、食料生産と生物多様性の維持に大きな役割を果たし、彼らは保護されなければならない」という食品安全広報担当者バート・ステース氏のコメントを発表した。

 ・Greens/EFA

欧州砂糖製造者協会、バイエルは失望を表明

 一方、この使用禁止に反対してきた欧州砂糖製造者協会(CEFS)は「ネオニコチノイドの全面的禁止はヨーロッパのサトウダイコンの生産者と加工業者に大きな影響を与える厳しい打撃」と題する声明を発表した。声明は、「ビート(サトウダイコン)の生産者にとって、またEUのビート砂糖産業の持続可能性にとって大きな打撃である。ビートに関しては、科学的根拠に基づく決定ではない。環境問題のために、ビート種子のネオニコチノイド処理を禁止する理由はない。種子処理での使用は安全だ」と、失望の声明を発表した。

 ・European Association of Sugar Manufacturers, 2018-4-27

 屋外使用の禁止が決まった一つ、イミダクロプリドの開発・製造元のバイエル・クロップサイエンスも失望の声明を発表した。「ネオニコチノイドによる種子処理を失うことは、ヨーロッパのビート生産者に大きな影響を与える。EU加盟国による特定のネオニコチノイドの使用を常設温室での使用に限定する決定は、欧州の農業と環境、多くハチやその他のポリネーターの状況を改善しない。この決定は、その多くは代替策が存在しない重大な害虫に立ち向かうヨーロッパの農家の能力を低下させる。バイエルは、ネオニコチノイドはラベルの指示に従って使用すれば安全であり、この制限は不要だと確信している」としている。

 ・Bayer cropscience, 2018-4-27

 同じく屋外使用の禁止が決まったクロチアニジン(商品名:ダントツ)の開発製造元の住友化学は、まだコメントしていない(4月27日23時現在)。

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