最終更新日:2019年7月5日
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2019.07.05 No.982
■豪州:反ラウンドアップ争議に勝利 グリホサートは労働安全でも問題
Roundup_parc_NYC.jpg / Flickr
ラウンドアップを散布したニューヨークの公園(2016年) / William Avery Hudson / Flickr

 オーストラリア・ニューサウスウェールズ州ブラックタウン市の現業労働者はグリホサートの使用中止と代替品の使用を求め、7月3日からごみ収集と屋外メンテナンス作業のストライキに入っていたが、市当局が有機代替品の試行に同意した。世界的にも初めてとも思える反ラウンドアップ争議だが、まずは労働者側の勝利で結着した。公園などの公共エリアでのグリホサート除草剤の使用中止は、実際の作業に当たる労働者だけでなく、利用する市民の健康にもよい影響を与える。

 ブラックタウン市の近隣のフェアフィールド市など4つの自治体はグリホサートの使用をやめ代替品の試行を始めていたという。また、オーストラリア・ビクトリア州環境水資源計画局も公共用地でのラウンドアップを含むグリホサートの使用見直しを始めたと報じられていた。

 こうした中、グリホサートによるがんの可能性を懸念したブラックタウン市の現業労働者は先月、フェアフィールド市などと同じようにラウンドアップを含むグリホサート剤の使用中止と代替品の試行を市当局に要求していた。しかし、市当局が6名にグリホサート剤の使用を命じたため、ユナイテッド・サービス労組は3日からゴミ集などの現業ストに入っていた。

 この市当局の有機代替品の5か月の試行への同意を受けて、ユナイテッド・サービス労組は勝利の声明を出した。声明でケリー書記長は、「(現場労働者の)懸念に取り組むことになり、がんを引き起こす可能性のある製品に替わるより安全な方法を検討することを嬉しく思います」と当局の同意を歓迎するコメントを出した。

 その上で、「この争議で市民の一部が不便になったのは残念ですが、市当局がより安全な除草剤の検討を拒否した後で、労働者がストライキを決定をしたことを理解する必要があります。今日の決断は他の多くの自治体でも同様の見直しを呼び起こすものと期待していますが、地方自治体がこの潜在的に危険な除草剤を段階的にやめ、安全で効果的な代替案を見出すにはニュー・サウス・ウェールズ州政府の支援が必要です。公園や公共スペースを最大限に活用し続けることが重要ですが、それは労働者や地域住民の長期的な健康と福祉を犠牲にしてはならないはずです」としている。

 ・United Services Union, 2019-7-4  ・United Services Union, 2019-7-4  ・Mirage News, 2019-7-4  ・The Age, 2019-6-2

 国際がん研究機関(IARC)が「おそらく人に発がん性がある」としたグリホサートの問題は、農業と食だけに留まらず、オーストラリアの現業ストのように労働安全の側面も大きい。米国で最初に損害賠償が認められたジョンソンさんのケースは校庭の除草作業でのラウンドアップ散布が原因と認められている。

 英国では労働組合によるグリホサート使用中止の取り組みも出てきている。60万人を組織する英国一般労働組合は昨年(2018年)、米国のジョンソン裁判の判決を受けて、使用者にグリホサートの使用禁止を求めるとともに、組合員向けのグリホサート使用に関するガイドブックを作成し公表している。

 ・GMB Union, 2018-9-12
  Ban Dangerous Weedkiller (現在リンク切れ)

沖縄県 公園でのグリホサート散布が発覚

 公園などの公共エリアでのグリホサート使用の問題は日本でも起きている。昨年10月、沖縄県浦添市の公園で芝生が枯れたことで、除草ににグリホサートを使用していたことが発覚している。当初浦添市は、作業に当たった業者の植物成長調整剤を散布したと発表していたが、後に業者が虚偽の報告だったと認め、グリホサート散布だったと発表した。実際の作業がどのように行われたは明らかではない。浦添市のケースは氷山の一角で、公園などの除草にグリホサートを使用しているケースは他にも多々あるのではないか。

 ・浦添市, 2018-10-31  ・琉球新報, 2018-10-31

オーストラリアでもラウンドアップ損賠訴訟

 米国におけるラウンドアップ損害賠償裁判は、3件がいずれも原告勝訴となっている。オーストラリアでも先ごろ、18年以上ラウンドアップを使用してた非ホジキンリンパ腫を発症した庭師のオガリロラさんは、損害賠償をもとめて提訴したという。この訴訟は、グリホサート損害賠償訴訟としてはオーストラリアで初めてという。

 ・The Age, 2019-6-3
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