最終更新日:2019年10月16日
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2019.10.16 No.1013
■オーストラリアでもラウンドアップ損賠訴訟
roundup-mm3.jpg / Flickr
ラウンドアップ / Mike Mozart / Flickr

 ラウンドアップによる健康被害をめぐって、全米で1万8千件以上の損害賠償訴訟が起こされているが、オーストラリアでも2件のラウンドアップによる健康被害に対する賠償を求める訴訟が起こされている。

 オーストラリア初の提訴は今年6月。18年以上ラウンドアップを使ってきた造園家のマイケル・オリアロロさん(54)は、ラウンドアップによるがん発症への賠償を求めて提訴した。オリアロロさんは2011年に非ホジキンリンパ腫と診断され、15年に退職を余儀なくされた。原告は、ラウンドアップの危険であるという警告表示がなかったとして提訴したという。

 ・ABC, 2019-6-4

 10月10日には、農民としては初となる2件目の提訴があった。ラウンドアップを40年使ってきて非ホジキンリンパ腫を発症した農民が損害の補償とともに懲罰的賠償を求め提訴した。ロス・ワイルドさん(67)は、1976年にオーストラリアで販売が始まって以来、自分の農地で使ってきたという。ラウンドアップの警告表示は不十分であり、モンサントは安全だと宣伝し、時には「食卓塩より安全」とまで言ってきたと指摘している。ワイルドさんは、ラウンドアップが安全ではないことを知って欲しいと述べているという。

 ABCニュースによれば、訴えられたバイエル・オーストラリアは、ワイルドさんのがんには同情するが、「広範な科学」はラウンドアップが非ホジキンリンパ腫を引き起こさないという結論を支持している、との見解を述べたという。

 ・ABC, 2019-10-10

 国際がん研究機関(IARC) は2015年、公開された論文のレビューにより、グリホサートは「おそらく発がん性がある」とするグループ2Aに分類すると発表している。

 日本も含めてEUや米国の規制当局と農薬業界などは、グリホサートの発がん性を否定し、国際がん研究機関(IARC) の位置づけを非難した。一方で、産婦人科医の国際組織である国際産婦人科連合の発生環境衛生委員会は今年7月、この15年間に明らかになったエビデンスから、予防原則に則り世界規模でのグリホサートを禁止すべきであるとする勧告を発表している。

 オーストラリアの2件の訴状でも明らかなように、グリホサートの問題は、農民や現業労働者のように直接取り扱う人びとが健康被害を受けるという点である。オーストラリアでは自治体レベルでのグリホサート禁止の動きが出てきているが、ニューサウスウェールズ州ブラックタウン市の現業労働者は今年7月、グリホサートの使用中止と代替品の使用を求めて、現業部門のストライキにより代替品の試行を勝ち取っている。

(参考)
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