
食品安全委員会は1月19日、米国シンプロット社の遺伝子組み換えジャガイモ2系統について、遺伝子組換え食品等専門調査会の「ヒトの健康を損なうおそれはない」との評価を受け、意見公募は行わず厚労省への通知を決めた。近く厚労省が承認すると思われる。同時にこの遺伝子組み換えジャガイモは飼料としても問題なしと評価し、農水省へ通知を決めた。これまでにシンプロット社の遺伝子組み換えジャガイモは、2系統が食品として承認されている。
今回「ヒトの健康を損なうおそれはない」との評価された遺伝子組み換えジャガイモは、シンプロット社が開発し、すでに米国やカナダなどで承認されているもので、疫病抵抗性とともに高温加熱加工時におけるアクリルアミド生成量と打撲による黒斑形成を低減をうたい文句としている。アクリルアミド生成量と打撲による黒斑形成を低減は、遺伝子サイレンシング技術を使っている。米国の食品安全センター(Center for Food Safty)などは、遺伝子サイレイシングは、その影響がはっきりと分かっているわけではなく問題だと指摘している。
議事概要によれば、これら2系統について、「宿主の代謝系が改変され、特定の成分の含量を変化させる形質が付与されていることから、SPS-00X17-5/SPS-000Z6-5を用いて開発した品種は、安全性評価が必要である」としている。
X17系統はすでに、米国とカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンで食品としての承認を受けている。米国とカナダでは栽培も承認されている。もう一つのZ6系統は、米国農務省の承認を得ている。しかし米国食品医薬品局(FDA)は、まだ食品として承認していない。
19日の食品安全委員会はまた、味の素の遺伝子組み換え添加物のグルタミルバリルグリシンについて、高度精製添加物に該当し評価不要として厚労省へ通知するとした。このグルタミルバリルグリシンは、ホタテ貝や本醸造の醤油などに含まれている化合物で、いわゆるコク味をつける調味料として使われるという。味の素はこれまでに、遺伝子組み換え微生物を使った2種類のグルタミルバリルグリシンを高度性製品として承認を受けている。
現在、厚労省が手続き中の遺伝子組み換え添加物は、食品安全委員会が審査中の物を含み20品目に達している。
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